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松尾和也の脱!なんちゃって省エネ住宅

暖かさだけじゃない!豊かな生活を実現する省エネ住宅

2016/04/01

日経ホームビルダー

省エネ住宅によって「豊かな生活」を手に入れる方法は、暖かさだけではありません。欧州で実際の住まいを何度も訪ねている松尾和也さんが、日本と明らかに違う点を解説します。その上で、松尾さんが設計者として実践するアイデアを提案してもらいます(日経ホームビルダー)


 省エネ住宅を建てる目的を「世間がそんな感じだから」「基準が厳しくなるから」「CO2削減のため」と捉えている建て主がある程度いらっしゃるかと思います。直接的に省エネ住宅の効果として大きいのは、光熱費の削減です。本当にうまくやれば、30年なら30年といった長期間で工事費も含めたトータルコストを最も安くすることを目的に現状の仕様、冷暖房手法を決めていく設計が可能です。

 なぜ、光熱費を削減したほうが良いかというと、経済的な余裕が生まれることから精神的にも余裕が生まれ、多少なりとも豊かになれる実感が増えるからです。夏涼しく、冬暖かくというのは原始的な欲求ですが、それが満たされた豊かさを知っている日本人はほとんどいないと思っています。というのも冬場の室温を家全体で20℃程度に保つことができている家庭などほとんど存在していないからです。欧米では至極当たり前の話なのですが――。

 今回は少し視点を変えて、この「豊かな生活」という観点から住宅を見てみたいと思います。米国のことは把握していませんが、欧州では実際の住まいを何軒も訪ねて実生活を何度も拝見してきました。その結果、日本とは明らかに違うところに何点か気がつきました。

  • (1)冬の室温が24℃程度で、トイレや脱衣室も含めてほとんど均一に保たれている家が多い
  • (2)住宅メーカーのモデルハウス並みかそれ以上にインテリアが整っており、かつ、きれいに掃除されている家が多い。「住まう」ということに対するこだわりとセンスが桁違い
  • (3)夫婦共働き比率は高いが、夕方5時台に二人とも仕事を終え、家族皆で夕食、食後のだんらんを楽しんでいる家庭が多く、かつ年間の休日日数も圧倒的に多い
  • (4)住宅新築は3世代に1回程度。住宅寿命100年程度は当たり前なので一世代当たりの住宅ローン負担は軽い。だからこそ、きっちりと断熱にお金をかけることもしやすく、メンテナンスのことも考えたつくりになっているし、建築後も適切にメンテナンスが行われる。その結果、土地だけでなく建物自体も資産価値が持続する

ドイツ・ダルムシュタットの集合住宅。天井にシーリングライトという照明計画はほぼ存在しない。そして日本に比べると照度が低め。下から上に照らされた光が天井を照らし、「夜でもほぼカーテンを閉めない」という国民性から天井が暖かく光る風景が外からもよく見える、これが町並みをも美しくしている(写真:松尾和也)
ドイツ・ダルムシュタットの集合住宅。もはや日本にはほとんどなくなってしまったといってもいいくらいの「庭とのつながり」が非常に大事にされている。日本とは異なり路地裏に至るまで美的感覚が行き届いているところが多いのが特徴(写真:松尾和也)
ドイツ・ダルムシュタットの集合住宅。天井高さいっぱいの全面高断熱ハイサッシ、植栽、家具、照明の全てが美しい(写真:松尾和也)

松尾和也=松尾設計室日経ホームビルダー

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