音響が呼び覚ます地域の記憶
さて、冒頭の欧州文化首都だが、選定されるためには、欧州全体の文化の特徴を備えた文化プログラムを計画することが条件だ。そのイベントにはその都市の市民の参加が不可欠である。またプログラム自身もその都市の長期的な文化、経済、社会発展に継続的な効果のあるものでなくてはならないとされている。
ヨーロッパ最大の民族であるスラブをはじめ、モンゴル、ボヘミアなどの影響を受け、ハプスブルク帝国やドイツの一部だった時期もあるヴロツワフである。様々な音楽に対応しつつも〝音響“という目には見えなくとも人の潜在的記憶に訴える面で伝統を重視したこのホールは、文化首都の任期を過ぎても、文化、社会発展に貢献するものであるだろう。
プロジェクト概要
- クライアント: City of Wroclaw
- 意匠設計:APAKA/ Kurylowicz & Associates
- 劇場計画:Arup
- コスト計画:Davis Langdon