バロック音楽からジャズまで対応

 NFMは、オペラやバロック音楽から、ジャズなどにも対応できるように計画されている。

 独立した22カ所の反響板、反響時間を調整するための吸音カーテンやバナーはモーター駆動、オーケストラのプラットホームや座席も可変型である。映画イベントなどにも対応できるように録音や放映の設備も備えている。

小ホール。リハーサルなどにも利用される(写真:©NFM_Lukasz Rajchert)
小ホール。リハーサルなどにも利用される(写真:©NFM_Lukasz Rajchert)
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 ヴロツワフ市は、バロックなどに代表される教会の伝統を組む音楽と深いつながりを持っている。最近のホールの傾向として、音の明快さが求められるが、NFMは教会音楽の伝統を守るべく、豊かで、融合された深みのある音を目指した。例えば、オーストリア・ウィーンの楽友協会ホールや、スイス・チューリッヒのトーンハレホールなどは特徴のある音響で有名であり、これらのホールが持つような音の独自性を求めたのだ。

 また、最近は若い世代がモバイル型や住宅用のエンターテイメント・システムを使いこなし、大音量やインパクトのある音に慣れているため、彼らの高い期待値にも応える必要がある。

大ホール。ステージから客席を望む(写真:©NFM_Lukasz Rajchert)
大ホール。ステージから客席を望む(写真:©NFM_Lukasz Rajchert)
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 英国・ロンドンを本拠地とする、古楽器オーケストラであるガブリエリ・コンソート&プレイヤーズの芸術監督・ポール・マクリーシュは、NFMについて「広いスペースでも音に温かさを感じ、自然なバランスがある。さらにそれが聴衆には一体感を与えるだろう」と語った。