NY地下鉄で冷風設備を初導入

 新しくつくられた3駅には、NY地下鉄にとって初めての設備がある。冷風設備だ。ただしこれは、長大な設備を設けるというより、あくまでも初期投資と運営費で賄える範囲内で快適性にも配慮しよう、という前提である。

 温度や気流のシミュレーションを行った結果、冬季や中間期は排煙用の装置を活用して直接冷えた外気を取り入れ、夏の間だけ、冷風設備を使うことになった。チラーでつくられた冷風を、ダクトでプラットホームに送る。この際の冷風の風量は、CFD解析で決定されたのだが、トンネルを車両が走るピストン効果により、冷風は拡散せずに人の多いプラットホーム周辺にとどまることがわかった。滞在時間の短い中2階や線路自体は、多少気温が高くても良しとした。

構造、空調、換気、排煙などのダイアグラム。駅の端部に設けられた機械室には、水冷式のチラーと、万が一の火災時に使われる排煙用のファンが設置された(資料:©DMJM_Harris+Arup _DHA_9)
構造、空調、換気、排煙などのダイアグラム。駅の端部に設けられた機械室には、水冷式のチラーと、万が一の火災時に使われる排煙用のファンが設置された(資料:©DMJM_Harris+Arup _DHA_9)
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既存の63通り駅。地下鉄入り口周辺も整備された。バリアフリーにも配慮し、エスカレーターやエレベーターも多数設置された(写真:©Charles Aydlett courtesy AECOM-Arup JV)
既存の63通り駅。地下鉄入り口周辺も整備された。バリアフリーにも配慮し、エスカレーターやエレベーターも多数設置された(写真:©Charles Aydlett courtesy AECOM-Arup JV)
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