テート・モダン――。2000年に、倉庫街だった英国・ロンドンのサウス・バンク地区をアートの拠点へと変えた先駆けのプロジェクトだ。設計者であるヘルツォーク&ド・ムーロン(HdM)の名を世界に知らしめ、不動のものにした。
テート・モダンは、テムズ川沿いにかつてあった「バンクサイド発電所」を改修した英国立の近現代美術館だ。完成した当初、年間の来場予定者数は200万人だったが、あっという間に年間500万人以上が訪れる人気の美術館となった。
そのテート・モダンが増築され、2016年6月にオープンした。この増築部分の設計もHdM。Switch House(スイッチ・ハウス)と呼ばれており、11層、高さ64m。総額2億6000万ポンド(約334億円)のプロジェクトである。
“Art Changes, We Change(アートが変われば、我々も変わる)”がテートの新しいモットーということだそうだが、それが現れているのがスイッチ・ハウスであろう。世界でも初といえる、パフォーマンス、映画、インスタレーション、インタラクティブな彫刻など、現代の「ライブ・アート」への関心の高まりに対応したスペースとなっている。