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アラップ・トータルデザインの舞台ウラ

世界遺産の豪オペラハウスが大改修、100年先の未来に引き継ぐ

アラップ・トータルデザインの舞台ウラ(57)

2017/10/18

建築には人生を変えてしまうほどのパワーがある、と思っている。例えば、シドニーのオペラハウスが建設されるのを目の当たりにし魅了された青年は、専攻を変更してエンジニアのインターン生として働き始めた。現在、彼は1万3000人のエンジニア集団のトップに立つ・・・。弊社、アラップ・グループの社長の話だ。今回は、在シドニーの構造設計者が、シドニーオペラハウスの大規模改修について紹介する。(菊地 雪代/アラップ)

 オーストラリアを象徴する建築物、シドニーオペラハウスが2021年に生まれ変わる。軽快で独創的な鉄筋コンクリート(RC)のシェル群がシドニーの真っ青な空とコントラストを成す。この劇場には今でも毎年820万人を超える観光客が訪れ、世界で最も利用される劇場の1つとして数えられている。2020年に改修工事に着手する予定で、現在設計を進めている。

意匠設計はヨーン・ウッツォン氏。1957年に国際設計コンペが行われ、ウッツォン氏の案が採用された。1973年に竣工。2007年に世界文化遺産に登録された(写真:© Arup)
ウッツォン氏とオーヴ・アラップの打ち合わせ。ウッツォン氏の描くビジョンを構造的・施工的に実現するため度重なる打ち合わせが行われた(写真:© Arup)

オープン以来、最大規模の大改修

 アラップは設計当初からこれまで約60年にわたって、シドニーオペラハウスに関わるプロジェクト300件以上に携わっている。地下を貫く搬出入のためのトンネル工事や、レストランの照明デザインなど大小様々なプロジェクトに携わってきているが、今回の改修は最大規模となる。

 予算2億200万豪ドル(約160億円)の大半を費やす主な改修工事は、館内に複数ある劇場のなかで最大のコンサート劇場である。

コンサート劇場の写真。2000席以上の座席数を持ち、クラシックコンサートや現代音楽、サーカスなど多種多様なイベントを催している(写真:© Arup)

 劇場の音響改善、エレベーターの増設、コンサートやサーカスなど多様なイベントに対応できるスピーカーや照明・音響反射板などの天井吊り物の増設、それに伴う鉄骨フレームの補強を実施する予定だ。

 オペラハウスが鉄骨造?と思う人もいるだろうが、外部のコンクリートシェルの内側に、劇場を包むように鉄骨のトラスフレームが構築されている。改修は、外観のデザインを変更せず内部のみを行う。

 特筆すべき点は、ニューサウスウェールズ州政府とオペラハウスは、保全管理計画のなかでこの建物の原設計者であったウッツォン氏の息子であるヤン・ウッツォン氏にデザイン監修を依頼し、当初のデザインコンセプトを損ねないように改修するようにしたことだ。

改修後のコンサート劇場のパース。音響反射板などの増設、スピーカーや照明などを吊る荷重容量を増やし、より安全で素早い入れ替えを可能にする(資料: © Sydney Opera House)
改修後の劇場のパース。自動で上げ下げできるドレープを新設することで、異なるタイプのイベントに柔軟に対応できるようにする(資料:© Sydney Opera House)

日経アーキテクチュア

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