ケース2: 五輪に向けて新築される会場
ロンドン五輪では、大会に向けてメーンスタジアム、アクアティクスセンター、自転車競技会場であるベロドロームなどが建設された。五輪向けに施設を新築する場合、大会組織委員会だけでなく、イベント後の施設所有者(および運営者)の意向も理解したうえで最も効率的なオーバーレイデザインを導き出すことが必要であるため、そのプロセスはさらに複雑なものとなる。
また建設段階においては建築工事とオーバーレイ工事の領域の設定が必要となるが、これに当たっては各施工者の施工区分や引き渡し方法などについて事前に理解を完全に一致させておくことが重要となる。
ケース3: 大規模仮設による会場
夏季五輪で最も大規模な屋外仮設を必要とする競技の1つがビーチバレーボールである。東京五輪ではお台場の潮風公園での開催が予定されている。ロンドン五輪ではバッキンガム宮殿付近のHorse Guards Paradeにて開催された。
ロンドン五輪のビーチバレー競技は2012年7月28日から開催された。これに先駆け、同年6月にはエリザベス女王の即位60周年を祝う式典であるダイヤモンド・ジュビリーが開催されている。競技会場の設営は式典後でないと開始できないという制約のなか、約45日という短期間で全ての会場準備を完了した。これを実現したのは、事前段階での十分な検討と関係者の理解の一致があったからこそと言える。