旅客数増を支える自動旅客輸送システム

 自動旅客輸送システム(Automated people mover、APM)は、ターミナル1から1km延伸され、ミッドフィールド・コンコースの新駅と簡単なメンテナンス用施設を増築した。この増築に伴い、鉄道設計チームは、これまでの「ブロック・フィックス型」の信号方式から、「コミュニケーション・ベースの制御」方式に変更し、キャパシティーを増やした。

 ブロック・フィックス型というのは、線路の区間をいくつかに分割し、ある区間には電車車両が1台しか入れないように制御するものである。前の車両が出て行くと、初めて次の車両が進入できる、という仕組みだ。

自動旅客輸送システム(Automated people mover、APM)は既存のものを延伸したが、信号システムの見直しにより、輸送量がアップした(資料:Arup)
自動旅客輸送システム(Automated people mover、APM)は既存のものを延伸したが、信号システムの見直しにより、輸送量がアップした(資料:Arup)
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 対してコミュニケーション・ベースの制御になると、車両の位置、スピード、進行方向などを常時モニタリングして、安全な車間距離を計算。その距離を保つように車両の速度を制御する。

 これによって、車両同士の距離を近づけた状態での走行が可能となり、結果として輸送量が増した。

 この信号システムの変更は、APMの運行を止めることなく夜間のテストを繰り返して実現したものである。この成功を受けて、香港空港公団ではターミナル2のAPMの信号システムもコミュニケーション・ベースの制御に変更する予定だ。

ミッドフィールド・コンコースのAPM乗降口(写真:Kerun Ip / AAHK)
ミッドフィールド・コンコースのAPM乗降口(写真:Kerun Ip / AAHK)
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