廃墟を再生したロイヤルオペラハウス
1862年から66年にかけて、E.M.バリーによって建てられた、ロイヤル・オペラ・ハウスは、1942年に戦争の爆撃によって破壊され、それ以降は廃墟と化していた。それを今回は改修し、オープンエアーの劇場とした。夏には1000席ほどが設置され、オペラ、ダンス、演劇、コンサートなどが開かれる。
このように様々なイベントに対応できるのは、機械化されたステージとERES(Electronic Reflected Energy System)というシステムによる。このシステムを導入することによって、残響時間や音質を室内コンサートホールのように調整することを可能とした。現代的な設備が地中海の歴史的なサイトと融合した形である。
このシティー・ゲート・プロジェクトは、計画が持ち上がってからなかなか進まなかったため、結果としてピアノ氏は何度も敷地を訪れることになったという。折り畳まれたメモ用紙、緑色のフェルトペン、メジャーを持ってこの地を歩き回ってメモを取り、「光が石と戯れるようなテクスチャーの建物」を目指したそうだ。
プロジェクト概要
- 発注者: Grand Harbour Regeneration Corporation
- 設計者: Renzo Piano Building Workshop
- 構造、建築設備、音響設計: Arup
- 規模: 敷地約4万㎡、議会場約7000㎡、劇場約2800㎡
- 総工費:約95億円