体験を共有するということ
VR技術を建築業界で応用する目的は、映画やゲームで得られるようなリアリティーを追求するためではないと考える。
専門家は従来、設計検討の結果を整理してクライアントに提供してきた。今後はその情報を、専門知識を持たない人でもダイレクトに参加できる体験として、プロジェクトチームあるいは一般に提供するスキルも求められるようになるのではないだろうか。体験の共有から得られるフィードバックに専門家が応えることが今後、意思決定の重要な部分を占めるようになるかもしれない。
表層的なコンテンツを観賞する目的ではなく、意思決定に係る設計のプラットフォームとして利用してこそ、VR技術を建築業界で応用する意義があるのだと思う。ある時は体験者として、またある時は体験の提供者として、多分野のスタッフが自在にVRに関わる数年後を想像している。
アラップ東京事務所/BIMコーディネーター