トップライトから差し込む一筋の光
デザインの最大の特徴は傾斜屋根である。打ち放しコンクリートのアーチが構造要素としても、意匠的な要素としても際立ち、その連続性が静謐な内部空間をつくり出している。また、外観は周囲ともシームレスにつながり、タイル張りの屋根はケリチョの緩やかに広がる赤い土の丘陵地帯を象徴している。
ケリチョのお茶が無農薬で育つのは、1日の寒暖差が激しく、低温時に害虫が生息できないからと言われる。この寒暖差と同時に、赤道直下の日射強度を把握して設計に反映させるため、様々な解析を行った。
この大聖堂の身廊(会衆席)の軸は、南北方向から時計回りに36°傾いている。この傾きによって、1年中太陽の軌道がなるべくトップライトの上を通るようにしている。
自然光を取り入れるのは、省エネルギーに配慮するためだけではない。光はカトリック信仰にとって非常に象徴的な意味を持っている。トップライトから差し込む一筋の光とともに、祭壇に向かって高くなる屋根によって、祭壇への階層を視覚的に表現している。内装に使われたすだれのような木の細い枝は、光を拡散し、祈りと瞑想のための神秘的な空間をつくり出している。