道路下の終着駅を再生

 ニューヨークでは、「ハイライン(High Line)」という高架貨物線跡を公共の公園スペースに再利用し、人気が出たことで付近の不動産開発をも活発化した先例がある。それに対し、現在提案されているロウラインは、放棄されたインフラを緑豊かな、近隣コミュニティーのための公共空間に変換しようという同様の目的を持っているが、地下空間という、はるかに異なる環境条件に直面している。

 公園が計画されるマンハッタンのロウワー・イースト・サイド(Lower East Side)は、住人1人当たりに対する緑地面積がほかの大都市に比べ、10分の1程度しかないと言われる密集した市街地だ。

 デランシー通りの地下に残された1エーカー(約4000m2)ほどの空間は、1948年に閉鎖されるまでの40年間をマンハッタンとブルックリンを結ぶ路面電車の地下の終着駅として使われた。ちょうどウィリアムズバーグ橋への入り口となるエリアに位置し、現在その地上部は道路で交通量も多い。

緑色のエリアの地下がロウラインの敷地。ウィリアムズバーグ橋(Williamsburg Bridge)への続く道路の下にある(資料:Google)
緑色のエリアの地下がロウラインの敷地。ウィリアムズバーグ橋(Williamsburg Bridge)への続く道路の下にある(資料:Google)
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現在の地下空間と地上部の様子(写真:上はRAAD Studio、下はArup)
現在の地下空間と地上部の様子(写真:上はRAAD Studio、下はArup)
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