施工精度を5mmに抑える

 シェル構造の屋根は、原則として真っすぐな個材(ラチス材)で構成されており、1418もの個材の中で湾曲したものは4本しかない。ただし、ラチス材の構造強度、長さ、せいなどは様々なバリエーションがある。その分、節点は複雑になり、564の節点の半分以上がそれぞれ形状の異なるものとなった。ETFEピローも約半数は同じ形で、残り半数はそれぞれ微妙に角度の異なる三角形となった。

屋根の施工中の様子。節点の金物が見える(写真:Arup)
屋根の施工中の様子。節点の金物が見える(写真:Arup)
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施工中の様子。ところどころETFEのピローがない部分もある。換気を促し、雨を直接取り入れ、屋上庭園の植物に自然散水としている(写真:Daniel Imade_Arup)
施工中の様子。ところどころETFEのピローがない部分もある。換気を促し、雨を直接取り入れ、屋上庭園の植物に自然散水としている(写真:Daniel Imade_Arup)
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 ラチス材には、ETFEのピローを支持するためのブラケットが取り付けられている。ETFEに空気を送るパイプなどがきれいに納められた統合されたデザインとなっている。

 このような複雑な形状を実現するために、 ラチス材、節点の鉄の部材、ETFEを別々に検討するのではなく、一体のものとして検討するよう製作者にも依頼した。ジオメトリ(位置情報)を共有したうえで、関係各社が詳細な納まり検討を行った。300m以上もの長い屋根、かつ両端が30mものキャンチレバーだったにも関わらず、前例のないほど精度の高い工程を経た結果、施工の誤差を両端部で5mmに抑えたそうだ。