清掃要らずの「CCF」

200 George Streetの内観。薄いキャビティ内に木製ブラインドが納められている様子が確認できる(写真:Alexander Mayes)
200 George Streetの内観。薄いキャビティ内に木製ブラインドが納められている様子が確認できる(写真:Alexander Mayes)
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 欧州を皮切りに世界に広まりつつある、クローズド・キャビティ・ファサード(CCF)。読んで字のごとく、閉じたキャビティ(空気層)を持つ外装システムである。透明な単板ガラスのアウタースキン、ブラインド、Low-E複層ガラスのインナースキンで構成される。密閉型ダブルスキンともいえる。

 驚かれるかもしれないが、この密閉キャビティは基本的に開閉、清掃を行わない。ブラインドの故障などに備え、天井裏などへのアクセスは確保されているものの、ブラインド交換の場合には、ガラスを取り外すことになる。

 CCFは、ブラインドを含め、全て工場内のクリーンルームでユニット化し、キャビティを密閉する。しかし、“密閉”と言えど、サッシの気密性能には限界がある。そのままでは、微細な隙間から室内外の湿気やほこりが侵入する可能性がある。

CCFの概念図。キャビティには、細いチューブから乾燥空気が導入される(資料:Permasteelisa Group)
CCFの概念図。キャビティには、細いチューブから乾燥空気が導入される(資料:Permasteelisa Group)
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 これを防ぐため、キャビティには、サッシの漏気量に相当するわずかな量の乾燥空気を絶えず供給している。キャビティ内を常に正圧に保つことで、外側からの空気の流入を防いでいるのだ。

 「空気を供給」と聞くと、エアフローウィンドーのように空調と連動した大掛かりなものを想像されるかもしれないが、カーテンウオールユニットに接続されるのは細いチューブのみ。空調設備とは別に、細い配管を設け、屋上に設置したコンプレッサーから、乾燥空気を各ユニットに搬送する。これにより、二重サッシに心配されるような、結露や汚れの付着といったリスクが解消されるのだ。