20を超える世界のスタジアムを実現

 これらのポイントを押さえて効率よく設計するためのツールとして、アラップが開発したソフトウェアが「Stadium Generator」(StaG)だ。観客席の設計・最適化をパラメトリックに行えるもので、ボウルデザインの設計技法を高度なプログラミングに組み込むことで、多様な条件に適合する3次元形態の生成が可能となる。

 アラップは、オリンピックスタジアムや水泳競技場などを含むスポーツ施設のマスタープラン、意匠、構造、環境・設備、ファサードの設計のみならず、スポーツ照明、セキュリティー、歩行者の避難流動、IT(情報技術)など様々な技術コンサルティングを行い、それらの専門技術を統合して設計を行っている。過去に20を超えるスタジアムの設計・技術コンサルティングを手掛けるなかで、要となる観客席の設計で専門的な知見を活用してきた。

 StaGはこれまで、ドイツ・ミュンヘンの「アリアンツアリーナ」(2003年竣工)、中国・北京の「北京国家体育場」(2008年竣工、通称「鳥の巣」)、シンガポール・スポーツ・ハブ(2014年竣工)などの設計で活用。10年以上の年月をかけて、その都度改良を加えてきた。

アラップが設計に関わったスタジアムプロジェクト(構造設計のみを担当したプロジェクトも含む)。サッカー専用、ラグビー専用、総合競技場などがあり、収容人数は約9000席から10万席まで多様である(資料:Arup)
アラップが設計に関わったスタジアムプロジェクト(構造設計のみを担当したプロジェクトも含む)。サッカー専用、ラグビー専用、総合競技場などがあり、収容人数は約9000席から10万席まで多様である(資料:Arup)
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