階段手すりにゲーリーらしさ
ゲーリー氏と言えば、ビルバオのグッゲンハイム美術館やディズニー・コンサート・ホールといった、うねる金属仕上げの印象が強く、CCW棟の外観は意外に感じるかもしれない。
CCW棟では、そのようなゲーリー氏らしさは内部の階段手すりに現れている。荒れ狂ったようなステンレスの手すりが、人の動きやアイデアの移ろいを表現しているそうだ。
ゲーリー氏は来月(2016年2月)に87歳になる。インタビュー時に中指を立てて応じる態度や、挑戦的な発言にも注目が集まるゲーリー氏だが、建築に表現される「人に対する尊敬」を語り、人間臭さを感じさせる一面もある。それが懐の広さなのだろうか。あらためて見直すと、今にも動き出しそうな恐れを感じたCCW棟のレンガ積みが、職人技を生かしたとても柔らかい風合いのように見えてくる。
[シドニー工科大学のホームページ(図面のダウンロードが可能)]
プロジェクト概要
所在地:オーストラリア ウルティモ(シドニー郊外)
発注者:University of Technology Sydney
設計者:Gehry Partners, Daryl Jackson Robin Dyke(実施)
施工者:レンドリース
規模:地下1階・地上12階、1万8413m2(駐車場20台、駐輪場160台)、生徒数約1300人
アラップの担当範囲:構造設計、ファサードエンジニアリング、土木設計、交通コンサルティング
総工費:1.8億オーストラリアドル(約145億円)