レンガ職人たちの熱意
その後、PCa板などの工法が、「現場積みレンガの職人の技を見せたいという意匠的なビジョンと逆行するのではないか」「同じ形状のパネルがほとんど無いためPCa化する意味が薄いのではないか」などの議論が起こった。方向性を変えるのは勇気がいることだが、建設的な議論である。
結果として、曲面状の下地材をつくり、それに沿ってレンガを積むことに決定した。またレンガ職人たちがぜひ挑戦してみたいと熱意を見せてくれたところも大きかった。最終的には特注の32万個のレンガを積んだ。
ガラスのカーテンウオールも特徴的だ。設計に際しては、前面道路を通行する車の運転手に対する配慮に苦労した。
300カ所を超える窓やカーテンウオールのガラスが、太陽光を反射して、運転手にまぶしさを感じさせないかどうかを全て検証した。様々な方向を向いているガラス面の中から、グレアを防ぐための対処として2度以上向きを変更しなければならないガラスを特定し、かつ意匠に影響が無いよう微妙な角度調整を行った。