ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)など省エネに配慮した住宅の目玉設備である「太陽光発電システム」。光熱費削減によるライフサイクルコストの優位性や災害時の非常対応などを考慮して、導入を前向きに検討する建て主は珍しくありません。

 しかし近年、太陽光発電機器に関するトラブルが散見されるようになってきました。なかでも周辺に深刻な被害をもたらすリスクが顕在化しているのが、火災と風による飛散です。

 日経ホームビルダー2018年1月号の特集1「太陽光発電が危ない」では、太陽光発電システムの導入がもたらした火災や飛散事故の実例を詳しく紹介しています。

日経ホームビルダー2018年1月号の特集1「太陽光発電が危ない」(資料:日経ホームビルダー)
日経ホームビルダー2018年1月号の特集1「太陽光発電が危ない」(資料:日経ホームビルダー)
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 例えば火災については、屋根材と太陽電池パネル(モジュール)が一体となった屋根一体型でのリスクを明らかにしています。住宅の意匠性などの観点から採用が広がっている建材ですが、火災事例からは、外からの火には強いものの、内からの火には弱いという性質が浮き彫りになっています。

 記事では事故事例だけでなく、事故などを回避するための対策にも焦点を当てました。製品そのものの安全対策に加え、設計や施工、点検の業務に役立つ対策を紹介しています。ぜひとも目を通していただければと思います。

 特集1の記事は、トラブルを機に省エネ住宅の重要設備を見直す内容をまとめましたが、成功事例から省エネ住宅について学ぶ記事も用意しています。短期集中で掲載する新連載「これなら売れる!省エネ改修」です。

 省エネ改修に対する実務者の認識を変えるほどのインパクトを持つ実例を題材に据えました。東京都内の高級住宅地に立つ既存住宅を改修してZEH化を図った事例です。連載記事では、そのコンセプト、改修の内容などを住宅実務者向けに詳しく解説していきます。

 この記事が面白いのは、改修した住宅が1億5900万円という高額物件であっただけでなく、改修後、すぐに売れた点にあります。改修事業を手掛けるリビタとYKKAPが手掛けたプロジェクトです。

 この事業は買い取り再販で進めたので、建て主の要望を聞き入れて改修したものではありません。それでも、売却先となる相手のイメージを明確に打ち出し、そのニーズに合った改修を実現したことが功を奏しました。ぜひとも記事を参考にしてみてください。

 最後にもう一つ、1月号の記事で省エネ住宅に対して考えをめぐらせる材料となるのは、特集2「2018年の住宅界を読む(前編)」で紹介した松尾和也氏の談話です。松尾氏は、17年7月に弊社から書籍「ホントは安いエコハウス」を発行し、全国を駆け回って省エネ住宅に関する講演会などを開催。省エネ住宅に取り組む実務者を手厚く支援する活動に力を入れています。

 その松尾氏は18年に省エネ住宅に関していくつかの変化が訪れると指摘しています。その1つが全館冷暖房を採用した住宅の建設が進むという点です。住宅メーカーのなかには、全館空調システムを取り入れた住宅の販売に注力している会社が出てきました。松尾氏は、こうした動きが住宅界に広く波及していくとみているのです。

 省エネに関する動向を示すこの記事を、今後の省エネ住宅に対する取り組みを検討する材料にしていただければと思います。

 2017年に発行した日経ホームビルダーでは、5月号の「建て主の本音『不愉快な工務店』」や6月号の「野地板が泣いている」、7月号の「迫り来る施工品質の崩壊」、9月号の「雨漏り続出!『パラペット』&『バルコニー』」といった記事が読者の方に特に好評でした。

 実務者の方にとって悩ましいトラブルを取り扱った記事に対する注目度が高いことが改めて明らかになり、本誌にはこうした話題の提供を期待されていると再認識できました。一足早く2018年を迎える格好の日経ホームビルダー1月号は、こうした読者のみなさまのニーズを振り返りながら企画したものです。

 これからもみなさまのお役に立つ情報という視点で、さまざまな企画を立て、記事を掲載していく所存です。引き続きよろしくお願いいたします。