住宅の建設時に建て主との間でトラブルが発生したらどうするか――。住宅の設計や工事の実務を担っている方であれば、1度は考えたことがあるのではないでしょうか。日経ホームビルダー5月号の特集「建て主の本音『不愉快な工務店』」では、営業や設計、施工の場面で建て主が不満に感じていることを、建て主300人への調査から浮き彫りにしました。

日経ホームビルダー5月号の特集「建て主の本音『不愉快な工務店』」(資料:日経ホームビルダー)
日経ホームビルダー5月号の特集「建て主の本音『不愉快な工務店』」(資料:日経ホームビルダー)
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 ここで言う建て主300人は、ただの建て主ではありません。5年以内に注文住宅を新築し、かつその過程でトラブルや不愉快に感じた経験を持つ建て主です。まさにホヤホヤの建て主の意見を集めました。誌面では建て主が不満を感じる要因やその内容を、多様な観点から紹介しています。

 数ある回答データのなかで、私が特に興味深いと感じたのが、トラブルが発生した際の会合での記録の残し方と謝罪に対する印象でした。トラブル発生時の会合では、記録を正確に残すためにICレコーダーなどを使う実務者も多いでしょう。ですが、なんと6割以上の女性の建て主は、そうした対応を不愉快だと思っているのです。

 また、謝罪時にはおわびの品を持参するのが当たり前かと思っていましたが、4割近くの回答者は、おわびの品を持っていくことを「当然」とは考えていません。もっと興味深いのが、おわびの品として納得できる値段です。ここは面白い部分なので、ぜひ、特集の記事でご確認ください。

 熊本地震から1年のタイミングで発行する5月号では、住宅の耐震性能に焦点を当てたもう1つの特集も用意しています。特集「直下率が“構造計画”の新指標に」です。住宅の構造計画において、耐力壁の位置が上下階でそろっている割合などを示す直下率を考える重要性を伝えています。

日経ホームビルダー5月号の特集「直下率が“構造計画”の新指標に」(資料:日経ホームビルダー)
日経ホームビルダー5月号の特集「直下率が“構造計画”の新指標に」(資料:日経ホームビルダー)
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 2016年4月の熊本地震発生以降、被災地やさまざまな識者への取材を重ねてきた取材班が中心となり、住宅の構造計画時に着目すべき新たな視点を、図面や写真をふんだんに使って分かりやすく解説しています。耐震設計を振り返るうえで、ぜひとも確認しておいてほしい記事です。

 最後にもう1本。ニュースの深層「秀光ビルドに『文春砲』の波紋」でスクープとなるインタビュー記事を掲載しています。「文春砲」を呼ばれるほどスクープを連発している週刊文春が報じた秀光ビルドによる施工不良の問題を受け、本誌記者が石川に急行。秀光ビルドの社長へのインタビューを敢行しました。記事から、同社がこれまで急成長を遂げてきた理由と、その急成長ゆえにひずみが生じていることが見えてきます。

 盛りだくさんの日経ホームビルダー5月号。読み応えのある記事をぜひご覧ください。