住宅を建設する際に、インターネット上のブログへ工事や打ち合わせの内容を細かく記録する“家ブロガー”が増えています。手間をいとわずにそうした取り組みに注力する建て主は、人生の一大イベントである家づくりに、それだけ真剣に向き合っているとも言えます。

 近年、こうした住宅建設を巡るブログにおいて、欠陥施工や住宅会社の対応の悪さなどを言及している事例が散見されます。住宅会社にとっては、建て主から一方的に批判されていると捉えるケースも少なくないでしょう。

 日経ホームビルダー5月号の特集「闘う“家ブロガー”の逆鱗」では、家ブログを開設する100人超の建て主に対して独自の意識調査を実施。建て主がどんな目的で家ブログを始め、それを住宅会社との関係にどのように生かそうとしているのかを調べました。

日経ホームビルダー2018年5月号の特集「闘う“家ブロガー”の逆鱗」(資料:日経ホームビルダー)
日経ホームビルダー2018年5月号の特集「闘う“家ブロガー”の逆鱗」(資料:日経ホームビルダー)
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 調査を実施してみて意外だった点がいくつかありました。1つ目はブログを開設した事実を住宅会社に伝えた人や伝えようとしている人が、合わせて約7割に及んだ点です。こっそりと進める人の方が多いのではないかと思っていましたが、逆でした。

 家ブログを始める人の4分の3は、建築依頼先の選定時に他の人が開設した家ブログを参考にしていることも明らかになりました。住宅会社選びのツールとして、ブログが重要な役割を果たしている実態がうかがえます。

 住宅会社にとって気持ちのよくないブログなどに対して中止を要請しても、簡単にやめてもらえるケースは限られそうです。住宅会社から要請を受けても中止しないという回答者は全体の約20%を占め、理由や条件に納得できなければやめないという建て主は約45%に及びました。

 ただ、こうしたブロガーも最初から住宅会社ともめようとしているわけではありません。家ブロガーに取材してみると、不安に感じていることや分からないことに、住宅会社から的確に回答してもらえない状況が、不信感につながっていると分かりました。

 同じ家ブロガーなどから助言を受けられる点もブログのメリットのようで、欠陥やトラブルに関して、ブログを通じて相談した経験を持つ人や相談の意向を持つ人が全体の6割弱に達しました。

 特集ではこのほかにも、家ブログを開設する最近の建て主との向き合い方を、豊富な調査データとブロガーやブログの運営サイトへの取材を通じて浮き彫りにしています。

 2年前に発生した熊本地震。現地では今も、大きな揺れの繰り返しがもたらした傷を埋める作業が進んでいます。ただし、全てが順調というわけではなさそうです。宅地の液状化対策はその1つ。熊本県内では8つの地区で事業を検討していましたが、実施を決めたのは3地区にとどまっています。

 実は宅地の液状化対策は、東日本大震災後にさまざまな地域で計画が立てられたのですが、数多くの地域で実施が断念されています。日経ホームビルダーでは、ニュースの深層「道険しき戸建ての液状化対策」で自治体の取り組みを独自調査した結果から、実情を探りました。

 地震に関連する話題としては、リポート「新耐震への助成が拡大」でも独自調査を行いました。自治体が耐震診断や耐震改修において、いわゆる新耐震基準の住宅を助成対象にしているかどうかを調べたのです。

 新耐震基準の住宅まで積極的に自治体が助成する動きは、まだ大きくありません。それでも、新耐震住宅を含めて積極的に助成対象に据えている自治体は存在します。記事では先進的な取り組みも紹介しています。

 このほか、日経ホームビルダー5月号では、「とことん検証 省エネ住宅の実力」という新連載も始めました。こちらもご一読いただければ幸いです。