2017年1月17日で22年目を迎えた阪神・淡路大震災。テレビや新聞で関連ニュースが報じられました。日経アーキテクチュアウェブでも、「【1995年】立ち止まって考えたい22年前の日のこと」を掲載しています。既存住宅の耐震化など、対策が思うように進みませんが、対策の必要性は繰り返し伝え続けなければなりません。

 日経ホームビルダーが家づくりのプロに伝え続けなければならないと感じていることがあります。2月号の特集で取り上げた「欠陥責任20年」です。これまでも、繰り返し本誌では報じてきました。しかし、住宅業界にまだまだ浸透していません。

日経ホームビルダーでは「欠陥責任20年」を繰り返し取り上げてきた。関連記事のリストを記事の末尾に掲載している (写真:日経ホームビルダー)
日経ホームビルダーでは「欠陥責任20年」を繰り返し取り上げてきた。関連記事のリストを記事の末尾に掲載している (写真:日経ホームビルダー)
[画像のクリックで拡大表示]

 「欠陥責任20年」がクローズアップされたのは、2011年7月の最高裁判決です。それまで住宅の欠陥責任は、瑕疵担保責任の「10年」に関心が向けられていました。ところが、最高裁が2011年の判決で、民法上の不法行為責任に基づく賠償責任の範囲を「構造躯体」「漏水」など明示したことで、民法の「20年」が注目されることになりました。

 本誌は、当時から「ニュース」や「続・住宅事件簿」「特集」などでその影響を報じています。さらに、3人の弁護士による解説や関連する記事をまとめた「トラブル予防DVD講座 欠陥住宅の法的責任」も発行しました。繰り返し、家づくりのプロが負う法的な責任を情報発信するためです。

 そして、2月号で再び「欠陥責任20年」を取り上げました。今回の記事をまとめる上で力を入れた点が二つあります。一つは、分かりやすさです。欠陥責任の存続期間をめぐる法律論は、なかなか理解しにくいものです。なぜ、20年の欠陥責任が問われるのか、過去の経緯も含め、なるべく平易に解説しました。

 もう一つが、最近の裁判事例です。2011年の最高裁判決以降で、不法行為責任が認められた判決に注目し、12件の判決を把握することができました。「最新事例で死角が浮き彫りに」のパートで詳しく解説しています。ここで明らかになったことは、地盤のトラブルをめぐって設計者や施工者の不法行為責任を問うケースが増えていることです。損害賠償額は軒並み1000万円を超えており、多額の負担を強いられます。こうした状況で、地域密着型の住宅会社はどう対処すればよいのか。最後のパート「今日から始める対策」では、アフターサービスや建材選び、住宅瑕疵保険の導入など、新たな対策に乗り出す工務店を取材しました。

 家づくりのプロにとって「欠陥責任20年」が当たり前になるまで、本誌は伝え続けます。


■「不法行為責任」を取り上げた主な記事

  • ○特集 欠陥トラブルが「時効」で変わる!?
  • (日経ホームビルダー 2015年10月1日号)
  • ○新・住宅事件簿 雨漏りでも「不法行為」判決 瑕疵は20年間追及される
  • (日経ホームビルダー 2013年10月1日号)
  • ○新・住宅事件簿 くぎの間隔不良は不法行為 住宅会社が惨敗、影響多大
  • (日経ホームビルダー 2013年8月1日号)
  • ○特集 揉めたらこうなる!欠陥紛争、追い込まれる住宅会社
  • (日経ホームビルダー 2012年3月1日号)
  • ○使えるニュース 最高裁が「不法行為」を例示
  • (日経ホームビルダー 2011年9月1日号)