2016年は読者の皆さんにとってどんな1年だったでしょうか。今年の最終号となる日経アーキテクチュア12月22日号の巻頭では、恒例の「写真で見る 10大ニュース2016」を掲載しています。

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 毎年、編集部内の投票で10件のニュースを選んでいるのですが、今年は誰の投票を見ても、上位4件がほとんど同じでした。キーワードでいうと、熊本地震、豊洲新市場、五輪施設、杭不良マンションの建て替え決議──です。例年以上に、大きなニュースが多かった年といえるでしょう。

 4月に編集長に就任して以降、こうした大ニュースはなんとかフォローしてきたつもりです。けれども一方で、労働環境や設計手法、地域再生など、ジワジワと進んでいる建築界の変革──今風にいうと“地味にすごい変化”は十分に伝えられなかったという反省があります。こうした反省を最後に1つでも返そうと思って企画したのが、特集「編集部が選ぶ 10大建築人2017」です。

 2017年に活躍が期待される10組の建築関係者を選び、その中から最も注目される1組を選んで、「アーキテクト・オブ・ザ・イヤー2017」として表彰しました。栄冠に輝いたのは隈研吾氏です。選考のプロセスはこちらの記事(「初代『アーキテクト・オブ・ザ・イヤー』は隈研吾氏に」)、隈氏のインタビューはこちらの記事(「隈研吾、『失われた10年』が自分を変えた」)をご覧ください。

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 隈氏が“地味にすごい”? いえ、ここで注目してほしいのは、隈氏以外の9組です。

  • 五十田博氏(京都大学生存圏研究所教授)
  • 久原英司氏(熊本工務店ネットワーク会長、エバーフィールド代表)
  • 澤田秀雄氏(エイチ・アイ・エス会長兼社長CEO)
  • 嶋田洋平氏(らいおん建築事務所代表、リノベリング代表、北九州家守舎代表、都電家守舎代表)
  • 田根剛氏(ドレル・ゴットメ・田根/アーキテクツ共同主宰)
  • 中島浩一郎氏(銘建工業社長)
  • BUS(坂東幸輔氏、伊藤暁氏、須磨一清氏による設計チーム)
  • 星野佳路氏(星野リゾート代表)
  • 山名善之氏(東京理科大学理工学部建築学科教授)

 名前を聞いてピンと来るのは数人ではないでしょうか。それでも、それぞれのインタビューを読めば、「なるほどすごい」と納得がいくはずです。