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編集長が語る日経アーキテクチュアの見どころ

空き家防止に「少しずつ何度も」型リノベを

2017/12/13

 日経アーキテクチュアでは近年、12月のこの時期に住宅改修をテーマにした特集を掲載しています。これまでは「既存住宅を買い取って改修」、あるいは「販売を前提として改修」した事例を集めたものが多かったのですが、今回の12月14日号では、「同じ家族が住み続ける改修」にスポットを当てました。特集のタイトルは「住み継ぐ改修」です。

 空き家対策の1つとして、国は中古住宅流通を促す取り組みに力を入れています。それが重要であることは間違いありません。けれども、そもそも1つの家に代々、住み続けることができれば、住宅が空き家になる可能性は小さいのではないか。まずは中古住宅にきちんと手を入れて、世代間で住み継いでいくことを根付かせる方が、空き家化を防ぐ基本なのではないか──。担当デスクのそうした視点から生まれた企画です。

 「住み継ぐ改修」は、実際に増えています。住宅リフォーム推進協議会が2016年に実施した調査では、住宅改修のうち「親からの相続など」で取得した物件の割合が2割超に達しました。4年前の12年には1割強に過ぎなかったので、ここ数年で急激に割合を増やしているのです。

リフォームした戸建て住宅の取得方法を調査した結果。2016年の対象物件は、15年9月~16年8月にリフォーム工事を完了した戸建て住宅。改修物件のうち、「親からの相続など」で取得した住宅の割合が増えている(資料:住宅リフォーム推進協議会)

 かつてと別の住まい手が暮らす改修では、「ガラリと変える」ことが設計者の腕の見せどころになりますが、「住み継ぐ改修」では「変えすぎない」配慮が家に対する住まい手の愛着を高めます。もちろん工事費を抑えるという意味もあります。ポイントは「変えない」ところと「変える」ところの見極めです。

 特集では4つの事例を紹介しています。

目次

 今号の表紙に掲載した写真は、事例4の「貝沢の家」です。

 築約40年の2階建て木造住宅を減築し、耐震、断熱などの性能を向上させたものです。加えて、子どもたちが巣立ち2人だけになった高齢の夫妻が、暮らしやすい空間に変えました。

 面白いのは、建物のフォルムを大きくは変えずに、室内に吹き抜けをつくったこと。2階の寝室と廊下の床は撤去して吹き抜けとし、既存の梁はそのまま現しとしました。

「貝沢の家」の1階(写真:浅田 美浩)

 それまで暮らしていた経験がなければ、なかなか「減築」という決断はできないでしょう。減築は、増築に比べて法規上のハードルも低いので、大胆な空間もつくりやすい。その意味では、減築は「住み継ぐ改修」ならではの「隠し刀」といえそうです。

 家族構成の変化に合わせて、家にちょこちょこと手を入れ続ける──。1回の工事費がそれほど大きくなかったとしても、そうした改修の面倒を長く見ることができる関係になれば、それは1つのビジネスとなり得るでしょう。

 それが当たり前となるには、やはり増改築の法規がもっと簡便なものになる必要があるように思います。2018年は、住宅に限らず、「ストック再生時代の法制度」について深掘りしていくつもりです。ご期待ください。

宮沢 洋日経アーキテクチュア

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