日経アーキテクチュア9月28日号は3カ月に一度の住宅特集号です。今回のテーマは、「『不動産』に踏み込め」としました。

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 近年、住宅に関わることの多い設計者を取材していると、不動産の知識や不動産会社とのネットワークが住宅設計にも不可欠なものになりつつあることを強く感じます。特集の内容と連動する形で、10月25日にセミナーを開催しますので、まずはそちらの概要をお知らせさせてください。

■日経アーキテクチュア 建築実務セミナー
仕事が取れる 設計者のための“不動産”特別講義
~激増する二世帯・空き家対策で勝つ!~
  • 日時:2017年10月25日(水)13:00~17:30 (開場12:30)
  • 内容:一級建築士で不動産コンサルタントの田村誠邦氏(アークブレイン代表取締役)を講師に迎え、住宅設計に関わる建築士や工務店経営者を対象に、顧客をうならせる相続・法律・税制のポイントを解説します。
  • 会場:ラーニングスクエア新橋(東京・JR新橋駅より徒歩2分 )
  • 受講料(税込み):一般価格3万600円、読者特価2万1600円
  • 定員:120人

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 では、特集の見どころ紹介です。特集の構成は、以下の3テーマとしました。

目次

 (1)の「不動産仲介に乗り出す」では、設計事務所が設計の傍ら不動産仲介も自分で行うケースを紹介しています。(2)の「不動産仲介会社との協働」では、不動産会社が敷地探しから設計事務所と協働する動きを紹介します。設計事務所と不動産会社それぞれが補完し合って仕事をつかみ、互いのノウハウを活用して、住宅の質を上げる取り組みです。

 これを読んで、「この動きはニーズがある」と確信しました。自分の過去の経験に照らして、「もっと早くそれが当たり前になってほしかった」とも感じました。

 実は、20年ほど前、都内で新しい家を探したことがありました。当時も日経アーキテクチュアの記者でしたから、住宅を手掛ける設計者の知り合いは少なからずいました。「更地を探して、設計者に家を設計してもらおう」と気楽に考えたのですが、結論からいうとそれは断念せざるを得ませんでした。

 会社員に買えそうな大きさ・価格の更地が見つかっても、そのほとんど(というか、当時私が目を付けた土地はすべて)が「建築条件付き土地」でした。

 念のため説明すると、建築条件付き土地というのは、「一定期間内に、指定した建設会社で家を建てる」という条件が付いた土地のことです。自分の好きな設計者や工務店に依頼して建物を建てることはできません。土地が「買えそうな値段」に見えたのは、後から建てる建物の利益でカバーできるからなのでしょう。

 都内で「建築条件なし」で売られている土地は、庶民に手の届くはずもないような広い敷地か、その逆で、ここにどうやって建物を建てるのかイメージの沸きにくい狭小地・変形地ばかりでした。

 20年前の話ではありますが、今もそう大きくは変わっていないのではないかと思います。

 そうした経験を持つ人は、「設計者が土地仲介まで面倒を見てくれる」と聞いただけで、「ちょっと相談してみようか」と思うはずです。さらに、そんな人が本特集で紹介していたり、セミナー(10月25日開催)で学べたりするような「設計に使える不動産知識」を持っていたとしたら、これは相当の“武器”になることは間違いありません。