日経アーキテクチュア9月14日号の特集「経営動向調査」は、長年の読者の方はよくご存じの年イチ定番企画です。創刊年である1976年から同様の企画を毎年やっており、今回で42回目となります。

 ここ10年ほどは、数字(経営データ)の分析とは別に、組織運営に関わるワンテーマを深堀りする“2本立て構成”を採ることが多く、今年もそうしたつくりにしました。今年選んだテーマは「女性の活躍」です。

[画像のクリックで拡大表示]

特集 経営動向調査2017女性が組織を伸ばす 柔軟な仕組みで個々の力を最大化

 日経アーキテクチュアで本格的な女性特集を組むのは、1990年4月2日号の特集「建築世界の女性たち」以来27年ぶりです。

 男女雇用機会均等法(正式名は「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」)が施行されたのが1986年。それから4年後の特集です。この特集を読むと、中心になっているのは長谷川逸子氏や妹島和世氏といった、いわゆるアトリエ系事務所を率いる女性建築家で、大手の設計組織は女性「総合職」採用の黎明(れいめい)期といった印象の記事が並びます。

 それから四半世紀。今回は、どちらかという組織内の女性にスポットを当てました。そうしようと思ったのは、以下のような理由からです。

  • 大手の設計組織で女性の設計部長が増えてきた
  • 大手の設計組織の幹部から「新卒採用で女性の優秀さが際立つ」という話をよく聞く
  • 2017年4月27日号の特集「“ブラック”な職場との決別」を取材した際、“ホワイト”な労働環境を模索している設計組織に、女性の活躍を重視しているところが多かった

 今回は、取材をスタートするに当たり候補者に困ることはありませんでした。むしろ紙幅の制約のなかで「どう絞るか」に困ったくらいです。

 ただ、読者の方はどうか分かりませんが、編集者というのは「なぜ今、この時期に掲載するのか」という理由を欲しがるものです。取材を進めながらも、「半年前でもこの企画は実現できたのではないか」あるいは「半年後の方がもっと充実した内容になるのではないか」という迷いが常に頭をよぎります。