日経アーキテクチュア2017年8月24日号の特集は「藤森照信 異端からの逆転」です。

「多治見市モザイクタイルミュージアム」(岐阜県多治見市)では、施設の内外で建物の写真を撮る女性の姿が目につく(写真:佐野 由佳)
「多治見市モザイクタイルミュージアム」(岐阜県多治見市)では、施設の内外で建物の写真を撮る女性の姿が目につく(写真:佐野 由佳)
[画像のクリックで拡大表示]

 藤森特集をやろうと思い立ったきっかけは、今年3~5月に水戸芸術館で開催された「藤森照信展」のプレスレビューでの“衝撃”でした。

 このときのことは4月13日号の「建築日和」でイラストにしたので(こちら)、ご記憶の方もいらっしゃるかもしれません。何が衝撃だったかというと、30人ほど集まった記者のうち、4分の3が女性だったのです。

 通常、この手の会は男性記者が過半です。「今日は女性限定?」と、思わず案内状を確かめてしまいました。そして女性記者たちのうれしそうなこと……。

 思い返してみると、藤森氏の設計で昨年オープンした「多治見市モザイクタイルミュージアム」(岐阜県多治見市)も、同じく2015年にオープンした「ラ コリーナ近江八幡」(滋賀県近江八幡市)も、施設内はあふれんばかりの人でにぎわっており、その大半が女性でした。

 女性の価値観で建築が変わる──。水戸芸術館の展覧会の光景は、そんなパラダイム転換の予兆に思えました。

 今回の特集で解き明かしたかったのは、以下のような点です。

  • 藤森建築はなぜ女性に好感を持たれるのか。
  • 藤森建築は歴史的にはどう位置付けられるのか。
  • 藤森建築は今後の建築にどんな影響を与えるのか。

 それらを浮かび上がらせるために2つの建築のリポートと、4つの対談を実施しました。

小田和正氏と藤森照信氏の対談後の記念写真。「藤森照信展~自然を生かした建築と路上観察」(水戸芸術館で2017年3月11日~5月14日に開催)の展示室で。2人の対談は、日経アーキテクチュア2007年5月14日号特集での対談以来10年ぶり(写真:鈴木 愛子)
小田和正氏と藤森照信氏の対談後の記念写真。「藤森照信展~自然を生かした建築と路上観察」(水戸芸術館で2017年3月11日~5月14日に開催)の展示室で。2人の対談は、日経アーキテクチュア2007年5月14日号特集での対談以来10年ぶり(写真:鈴木 愛子)
[画像のクリックで拡大表示]

 ミュージシャンの小田和正氏(東北大学建築学科時代の同級生)とは本誌2007年5月14日号の特集以来、10年ぶりの対談です。五十嵐太郎、馬場正尊、槇文彦の各氏とは、本格的な対談は初めてだそうです。こんなバラエティーに富んだ対談を実現できるのは、藤森特集ならではでしょう。

 ただ、特集では紙幅に限りがあり、それぞれほんの一部しか掲載できませんでした。そこで、各対談の詳細版を当サイトで公開します。こちらのページ「藤森建築徹底研究!」をのぞいてみてください。槇文彦氏との対談は8月24日(木)に公開します。

 さらに、近日中には、藤森氏の少年時代を描いた漫画も公開する予定です。この漫画は2011年に発刊した「NA建築家シリーズ04 藤森照信」(電子書籍はこちら)のために、筆者(宮沢洋)が描きました。本人談に基づくノンフィクションです。

<div style="clear:both;"></div>
[画像のクリックで拡大表示]
<div style="clear:both;"></div>
[画像のクリックで拡大表示]

 8月30日(水)ごろに「藤森建築徹底研究!」を改めてクリックしてみてください。

 漫画ということでいえば、日経アーキテクチュア8月24日号では、連載「建築巡礼」の特別編として「藤森建築の転換点を探る旅」も掲載しています。お盆休みにどこにも行けなかった方、これを読んで旅行気分を味わってください。そして夏バテ気味の方は、藤森特集で心に活力を!