「フォーカス建築」「建築巡礼」も非東京

 「フォーカス建築」は埼玉県本庄市の公共施設を取材しました。福島加津也+冨永祥子建築設計事務所の改修設計、清水建設の施工により今春オープンした「時間の倉庫 旧本庄商業銀行煉瓦倉庫」です。19世紀末に建てられたレンガ組積造の倉庫を、耐震補強を含む全面改修で再生しました。一見、どこにあるのか分からない「補強躯体のデザイン」によって、レンガ倉庫を、建設当時の間仕切り壁のない大空間のまま残しています。

 そしてもう1つ、手前ミソではありますが、私がイラストを担当している連載「建築巡礼」は島根県江津市を訪ねました。巡礼地は吉阪隆正(1917~80年)が設計した「江津市庁舎」(1962年)です。老朽化のため庁舎の移転計画が進行中で、現在の庁舎は別機能での保存活用が検討されています。

 人的ネットワーク、広場、保存活用──。結果的に、異なる着眼点で地方都市の新しい動きをあぶり出す号となりました。あくまで個人的な感想ですが、どの記事も誌面をぱらぱらとめくっているだけで、何か元気が湧いてくるような気がします。ストレートに言えば、「どれも楽しそう!」

 今後も、折を見て“非東京号”をつくってみたいと思います。

<訂正>特集目次内の富士吉田市の県名を「山梨県」に訂正しました。(2017年7月12日午前11時00分)