遅ればせながら、あけましておめでとうございます。読者の皆さんにとって、2017年はどんな1年だったでしょうか。

 日経アーキテクチュアは2017年を通して、「働き方改革シリーズ」という記事を不定期で掲載しました。電通社員の過労自殺事件(2015年12月)をきっかけに「ブラック職場」という言葉が社会に広まり、建築界の長時間労働体質にも厳しい目が向けられるようになりました。それを受けて企画したシリーズ記事です。

 具体的には、4月27日号特集「“ブラック”な職場との決別」、5月25日号特集「正しいBIMとの付き合い方」、7月13日号特集「地域に活力生む『巻き込み型』仕事術」、9月14日号特集「女性が組織を伸ばす」、10月26日号特別リポート「ロボットが現場を救う」の5本です。残念ながらその間にも、新国立競技場の建設現場で働いていた建設会社社員の過労自殺が発覚し、社会に大きな衝撃を与えました。

 それらの取材を通して、「この問題は制度論やマネジメント論だけでは解決しない」と感じるようになりました。どの領域でも、もはや削るべき無駄はなくなりつつあり、「人口減」という大前提のなかで生産性をさらに上げるには、IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)、ロボットといった「新しい技術」の力を借りてパフォーマンスを高めるしかないのです。そして、そうした技術は自分たちのためだけでなく、例えばオフィスや生産施設の設計など、第三者へのビジネス提案にも直結することが分かってきました。

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 そうした流れを受け、2018年の日経アーキテクチュアは、昨年に引き続き「働き方改革」を深掘りする一方、「新たな技術」のリポートに力を入れます。

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 その皮切りとなるのが、1月11日号の特集「建築を変える新技術・ビジネス100」です。文字通り、編集部全員でテーマを分担して取材した「総力特集」です。

 特集の前書きを引用します。

 「エネルギー、防災、空き家対策、インバウンド対策…。社会問題を解決する新技術やビジネスも次々に登場している。『五輪後』の2020年代、建築・都市は何が変化しているのか。生き抜くために何が必要か――。建築実務者として知っておきたい100のキーワードを、今号と次号で先取り解説する。今号は『働き方』『技術・デザイン』『ビジネス』の近未来を占う75のキーワードを取り上げる」

 今号は、次号(1月25日号)で掲載する「都市関連の25語」を除く75語について、実例を交えながら解説しました。