新しい建築の鼓動2009

環境社会に向けて「建築」「構造」「設備」の連携で、
次代を担うスーパーエコビルを開発

大成建設の設計部門では、建築、構造、設備、各分野に携わる技術者が互いの立場を尊重しながらも主張をぶつけ合って、ものづくりに励む。札幌市の中心部に完成した大成札幌ビルは、各部門の連携の成果を示す好例だ。低炭素社会づくりに向けて建築主も環境配慮の姿勢を強めていくなかで、次代を担う「スーパーエコビル」を具現化しようと、それぞれが培ってきた技術を結集させた。

 発端は、老朽化した札幌支店ビルの建て替え計画だった。BCP(事業継続計画)の観点からも耐震性能への要求が高まるなか、構造の新技術をここに導入しようと方針を固めた。2004年12月のことだ。

 新技術の名前は、TASMO(タスモTAisei Smart suppression system with MOnitor)。地震時の揺れを制震装置付きのタテ系シャフトで集中して吸収する構造で、周囲に対して開いたガラス張りの外観を可能にする技術である。

 「建て替え計画の検討を始める1年ほど前から、構造設計担当の5、6人と共同で研究してきた」。開発に携わってきた設計本部構造グループのプロジェクトリーダー、小室努氏はその経緯をこのように語る。

 一方で課題となったのは環境配慮。時を同じくして、社内では低炭素社会づくりに向けた大成建設独自の取り組みとして、「スーパーエコビル」という概念を策定していた。

大成建設の技術が結集したスーパーエコビル「大成札幌ビル」の外観と内観(エコボイド)。制震装置付きの壁柱がそのまま外部のデザインを構成している。 (2008年エコビルド大賞)

スーパーエコビルを実現する
「内に開く」という視点

 「スーパーエコビル」を目標として計画を固めていく過程で、各分野の担当者が集まり、寒冷地のビルはどうあるべきかをまず考えた。設備設計を担当した設計本部設備グループのシニア・エンジニア、梶山隆史氏は「空調エネルギー削減のためには外断熱の高断熱外壁とし、熱の通り道となる窓は必要最小限の大きさにしたい」と主張した。

 周囲に対して“開く”ことを可能にする技術と、“閉じる”ことを前提にした寒冷地のビル――。相反するこの二つを、一つの建物としてどうまとめていくか。構造設計と設備設計、そして建築設計の担当者が出した答えは、「内に開く」という視点に立つことだった。

 外周を構成するのは、外断熱を組み込んだ制震装置付きの壁柱と断熱性の高い特殊なガラスを用いたわずかな開口。TASMOの技術を、タテ系シャフトから建物外周に展開させたかたちだ。

 デザインとしての完成度を高めたのは、建築設計を担当した設計本部開発グループのプロジェクトリーダー、高橋章夫氏だ。当初の計画は機能面が優先され、意匠上の配慮が不十分だった。そこで、「壁柱のサイズや開口部分を見直して、構造システムが明解に表れるよう全体の形を整えた」(高橋氏)。

 その延長線上で、「内に開く」ことを実現するため、構造設計担当の小室氏は、高強度の鉄筋とコンクリートを用いたPCaPS梁を提案。20m級の長いスパンを柱なしで確保できるので、建物内部の空間に広がりが生まれる。また、「内に開いた」開放的な吹き抜け「エコボイド」を設置した。エコボイドは、建物上部からトップライトを通じて取り入れた太陽光や外気の通り道となる。

 エコボイド上部には、太陽光を効率良く取り込んで建物全体に行き渡らせる新しい装置も取り付けた。太陽光採光システム(T-Soleil )と名づけられたこのシステムは、太陽を自動追尾するミラーと光を広く拡散させるプリズムミラーを組み込んだもの。「建物内部を明るく照らし、内部の圧迫感を和らげる効果をもつ」(設備担当の梶山氏)。

 また、空調システムにはスケルトン天井のデザインと融合した躯体蓄熱天井放射冷暖房、自然エネルギーを有効利用する仕組みを取り入れた「北国空調システム」を採用し、省エネ・環境配慮ビルを実現できた。

 完成は2006年6月。大成建設で打ち出した「スーパーエコビル」の第一号となり、2007年度の実績でCO2の発生量は一般的なビルに対し、41%削減を達成した。

総合力が生きる現場
各分野が対等な立場で議論

小室 努氏
設計本部構造グループ
プロジェクトリーダー

梶山隆史氏
設計本部設備グループ
シニア・エンジニア

高橋章夫氏
設計本部開発グループ
プロジェクトリーダー

 プロジェクトを振り返って各担当者が異口同音に語るのは、建築、構造、設備の3分野が対等な立場で議論できる同社の風土。

 「当社の設計部門では、各分野の担当者がそれぞれの立場で堂々と発言・主張する。札幌支店の建て替えは新技術への挑戦という大きなテーマがあったので、通常のプロジェクト以上に各分野間の連携が生きたと思う」と高橋氏はプロジェクトを振り返る。

 「実際の現場では、激しい議論が繰り返された。各分野の担当者は強く主張し合うが、お互いの立場を理解しているので、感情的なしこりとなることはない」という。

 部門間の“連携”は決して“妥協”ではない。自らの本分をまっとうしながら、異なる立場も受け入れる。それぞれの担当者はだからこそ、自身の果たした役割に満足を覚えることができるのだ。

 時代が求めるニーズを高い技術で実現していくためには、さまざまな分野の知見を結集しなければならない。総合力をもつ大成建設ならではのものづくりのプロセスがここにはある。

会社情報

[資本金]1124億円
[連結売上高]1兆7117億円(2008年3月期)
[社員数]8787名(2008年3月現在)
[設立] 1917年(大正6年)
[事業内容]
国内外における土木・建築の設計・施工、エンジニアリング、エコロジー、都市開発、不動産など幅広い分野で事業展開

採用情報

[採用職種]
建築/建築施工・設備施工・機械・設計(建築)・設計(構造)・設計(設備)  設計(プロマネ)・エンジニアリング都市開発 
土木/土木・機械  事務 
[採用実績大学]全国・海外 大学院・大学・高等専門学校
[勤務地]
総合職 全国及び海外(転勤あり) 
専任職 採用時に決定するエリアに限定
[2009年入社予定数] 226名 
[初任給](総合職)
修士了 230,000円
学部卒 210,000円
高専卒 190,000円

問い合わせ先

大成建設株式会社
[部署名] 人事部採用担当 
[住所]東京都新宿区西新宿1-25-1 (新宿センタービル)
[電話番号] 03-5381-5015(採用担当) 
[URL]http://www.taisei.co.jp/saiyo/2010/
[e-mail]saiyou@pub.taisei.co.jp

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