【第7回】先人の苦労の結晶!「BIMガイドライン」を自社物件で活用せよ-PR-

2008/05/09

2次元CADとBIMでは、設計プロセスはどう違うのか
過去に自社で設計した建物を3次元CADでモデリング


第3回目のBIMブートキャンプの後半は、いよいよ各隊員が自社で過去に設計した建物を、3次元CAD「Revit Architecture」でモデリングする作業に入ります。

各隊員は、この作業のために各自でモデリングの題材を探してきました。住宅からマンション、事務所ビルなど、各自が得意とする様々な建物が選ばれました。

BIMにチャレンジするためには、最初のプロジェクト選びが重要です。あまり複雑すぎても、簡単すぎても3次元CADやBIMの効果をうまく生かせないことがあるからです。そこで、ヤマギワ隊長とイイダ軍曹は各チームの図面を事前にチェックし、最初のプロジェクトとして取り組みやすいかどうかを確認しました。

また、全く新しい物件ではなく、過去に設計した物件を最初の題材に選んだのは、わけがあります。2次元CADと3次元CADによる設計作業で、手順や作業効率、作業が始まってから終わるまでの作業密度の違い、設計プロセスの変化などを比較して実体験できるようにする狙いがあるからです。

隊員はどんな建物にチャレンジしようとしているのでしょうか。一部をご紹介しましょう。


BM都市設計のオオヤマ隊員は、自社物件の中から3階建てのアパートを選択。この図面を基に、3次元CADでのモデリングに挑戦することになった

千代田テクノエースのアオキ隊員(左)とイトナガ隊員は、3階建ての事務所ビルにチャレンジ。平面図を見るとかなり複雑そうだ


「これから、BIMのトレーニングが始まる」
先人の苦労の結晶「ガイドライン」が各隊員の手に


建物の3次元モデルに、様々な情報をデータベースのように入れて、図面や建具表、仕上げ表などを作るBIMでは、一つのモデルを作れば、その後のいろいろな設計図書に使い回しができる点が大きなメリットです。つまり一回、入力したデータから、自動的にいろいろな図面や数量計算書などが作れるのです。

逆に言えば、最初にモデルを作るとき、いい加減なデータの入れ方をしていたら、それが後々、いろいろなところで悪影響を及ぼしてきます。

例えば、用語一つとっても、同じことを別の言葉で表現したりすると、数量集計するときにバラバラになったり、同じものを表現する線が異なる形で図面に表れたりします。特に、建設業のように数多くの会社が設計、施工にかかわる業界では、最初の「決め」がプロジェクト全体の効率に大きな影響を与えます。

そこで、Revitユーザーグループという団体では、Revitによって建物をモデリングしたり、図面を描いたりするときに、設計者や設計会社が違っても、統一のとれたモデルや図面が作成できるようにするため、「ガイドライン」という基準を作成中です。

これまで、Revitを個別に導入し、試行錯誤しながら使ってきた先人ユーザーたちの苦労の結晶のようなものなのです。この作成中のガイドラインの「ベータ版」が、この日、各隊員に手渡されました。


隊員に配られた「ガイドライン」のベータ版。この仕様に基づいて、モデリングや作図を行うための「テンプレート」データも同時に配布された
「ガイドライン」や「テンプレート」を使っての訓練の冒頭に訓示するイトウ長官(左) 隊員の手元には、作成中の「ガイドライン」が既に配られている。いよいよBIMのトレーニング開始だ


イトウ長官は、ガイドラインを使っての訓練を始めるにあたり、趣旨を説明しました。「例えば、長い線分と短い線分が交互に連なる線のことをある会社では『1点鎖線』と呼び、別の会社では『1点』と呼んだりしています。また、スペースの間隔が違う場合もあります」とイトウ長官は、用語の統一の重要性を引き合いに出して、ガイドラインの意義を訴えました。

続けて「そこで、線種や線分、スペースの長さなどを統一して呼び方を決めたりするのがガイドラインです。この線の呼び方従って、テンプレートを作りましたので、皆さんにこれからコピーしてもらいます」と、隊員一人ひとりにUSBメモリを手渡し、データをコピーするように言いました。

このテンプレートは、BIMによって設計作業を行うための線や部品などを集めたものです。設計に必要な情報はもれなく入っており、不要なものはほとんどない、というのが理想です。テンプレートの出来、不出来が設計作業の能率を大きく左右するものなのです。

なお、ガイドラインやテンプレートのデータなどは改良を加えている最中であり、今年8月に正式公開されるまでの間、隊員達には“守秘義務”が課せられています。

(※一般の方にも、テンプレートのベータ版を入手できるチャンスがあります。詳しくは記事の末尾をご覧ください)

一点鎖線の呼び方と破線、点線の長さ 建具リストのガラスの略号など
寸法の表現や取り方などの基準


各階の図面にある方位マークの方向が一斉に変わる
「タグ」で線一本の意味もコンピュータが解釈


属性情報は、ドアや窓など、3次元のCAD部品「ファミリ」だけに付いているのではありません。イイダ軍曹は「敷地境界線など、一本の線にも属性情報があります。【タグ】をいう属性情報を表す記号を利用すると図面からその属性情報を自動的に拾ってきて、オブジェクトの脇に表示してくれます」と、説明しました。

「方位マークも、図面の中で唯一のものとして作成しています。プロパティで角度を設定すると、建物の1階、2階、とそれぞれの階の平面図に描いている方位マークの方向が一斉に変わります」とイイダ軍曹は、身近な図形一つにも属性情報が生きており、図面作成のときに生き物のように動作することを実演で示したのでした。

また、ヤマギワ隊長は「ガイドラインはこれまでの演習で使ってきたCADの操作手順を説明するものではありません。あくまでも基準なのです。建築設計事務所や建設会社などの間で、3次元モデルや部品、図面を共用するために必要な決めごとが書いてあります。そこで、隊員の皆さんには、ガイドラインがより使いやすいものになるように、どんどん意見を出してほしいです。一緒に日本のBIMを切りひらいていきましょう」と、激励しました。

イイダ軍曹はガイドラインについて、サラッと説明した後、隊員に指令を出しました。その内容とは、「次のBIMブートキャンプまでに、過去に自社で設計した建物の3次元モデルを完成させてきなさい」というものでした。もはや、手取り足取りの演習ではありません。自らガイドラインやテンプレートを調査し、試し、問題点や課題を見つけてくるという、超ハードな演習なのです。

隊員たちは、自社に戻り、ゴールデンウイークの時間も惜しみ、自社物件のモデリングと苦闘したのでした。


この日、たまたまBIMブートキャンプ会場を訪れた“タカトリ参謀”こと、大成建設設計本部テクニカルデザイングループのプロジェクトリーダー、高取昭浩さん。ガイドライン作成の重責を担っている





●各隊員のコメント  (4月21日〜5月4日分)
千代田テクノエース 今回の演習時間: イトナガ隊員(8.5)、アオキ隊員(4)
1階外壁が腰壁と外壁に分けて入力を行いました。1階壁だけ、ファミリーとして、壁を定義して入力した方が良かったかもしれません。部品が少ないため、5/21日の「第3回BIMミーティング」で配布されるβ版に期待しています。(イトナガ隊員)
これまでのQ&Aの復習とモデル入力の演習を行いました。(アオキ隊員)
TAG建築設計事務所 今回の演習時間: タガミ隊員(12.5)
住宅CADモデルからの作成や 別データの読み込み、吐き出しを行いました。.SketchUpデータより読み込み作業を行ったときは、どのようにRevit上で分ければいいのか、ファミリーとの関係をどうすればよいのかに悩みました。自分の使ってる形のファミリも作る必要がありました。最初からモデルを作ってみると、タグの読み込みに時間がかかりました。簡単に配置はできるのですが、そこから作り込むにはファミリのを自分にとって最適化することが必要です。この作業がやはり時間がかかりそうです。
東急設計コンサルタント 今回の演習時間: ナカハラ隊員(1.5)
自社物件の入力作業は、基準階をほぼ完了しました。既存の図面と同じような表現にするのは難しいのと、壁の仕上げやカーテンウォールの収まりなど、情報が不十分なところは気にせず入力をしてしまいました。今後徐々にブラシュアップできればと思います。トイレや給湯室の入力は思った物や大きさのファミリがないので、少し苦労しました。トイレは「トイレブース」や「ライニング付き小便器」は最初便利に思ったのですが、使っていると自由度が少なく、全部バラバラの方が使いやすく感じました。階段の入力がやはり少々難しいです。思った形状に作るのにもう少し研究が必要です。
都市住宅建築研究所 今回の演習時間: ナリヤマ隊員(16)
テンプレートを使用し、自社物件の入力の続きを行いました。作業効率が上がるかと思いましたが、ファミリにシステムキッチンがなかったりして不満が残りました。今後の充実を待つ(もしくは自作する)ことにします。また、途中でテンプレートをインストールしたことにより、もともとのRevit内にあったコンポーネントが使えなくなったという事もありました。
BM都市設計 今回の演習時間: オオヤマ隊員(8.5)
現在、新規の物件はおおよそRUGのマニュアル沿ってRevitで入力を行っています。従来では施工図の段階で決定していた事項が前倒しでの検討しなければいけないために、若干、作業スピードが遅くなっている感はあります。今度どの程度、従前の業務に比べて効率化が図れるかが面白いところです。従来型の設計手法の踏襲や改良改善ではなく、根本的に考え方や設計の仕方を変える必要がある気がしています。
●BIMブートキャンプの講評
イイダ軍曹
今回よりRUGのガイドラインを使用しての過去に自社で設計した物件の入力となりました。“戦果報告”からも、皆さんが試行錯誤しながら取り組まれている姿がよくわかります。この物件入力を通して、REVITの可能性を感じていただき、次のステップに進んでいただきたいと思っております。ともに、この山を乗り越えましょう
ヤマギワ隊長
いよいよ、自社物件へのチャレンジとなりました。少しづつREVITのクセに気付きはじめているようです。クセを知ることは、コツを知ることでもあり、これから本当の意味でのRevitの使い方が見えてくるでしょう。これからは3次元CADの使い方というより、BIMの演習になってきます。BIMや3次元設計でないとできないことや、BIMのメリットを体感できるところまでがんばってください
イトウ長官
ブートキャンプではあまり時間がなく、ガイドラインの説明も十分ではなかったため、RUGのテンプレートを使って少し戸惑いがあったと思います。ただ、使えば使うほど、このテンプレートの意味と大切さがわかると思いますので、使いこなせるまで、頑張っていただきたいと思います。

(BIMブートキャンプ2008は原則として毎月第2、第4金曜日に更新します)


「第3回BIMミーティング」で
「RUGガイドライン・テンプレートβ版」を配布

5月21日、Revitユーザーグループ(RUG)は、第3回BIMミーティングを開催します。今回は参加メンバーに「RUGガイドライン・テンプレートβ版」を配布します。

また、「RUGガイドラインの解説」では「階段・カーテンウォール・天井」などの、モデリングに関わる作成手順やTIPSについての説明や、Revitの大きな特徴である、柔軟で使いやすいファミリ(部品)についての説明も行います。


<第3回 BIMミーティング>

■日時:5月21日(水)13時〜17時30分(開場12時半)

■場所:場所:大塚商会3Fセミナールーム
東京都千代田区飯田橋2−18−4

■BIMミーティング 「RUGメンバーの学びの場」
  
 13:00〜13:10 活動報告等
 13:10〜14:40 ガイドライン説明「階段・カーテンウォール・天井等」
 13:40〜15:00 実用的Tips紹介(1) ファミリは三次元とは限らない!
 15:00〜15:20 休憩
 15:20〜16:20 BIMの活用を考えよう!
          「海外におけるBIMの発注事例とIFCによるBIMの具現化」

 16:20〜16:50 BIMについて考えよう!意見交換
 16:50〜17:00 今後の予定とRUGからのお知らせ

■RUG懇親会:「RUGメンバーのコミュニケーションの場」
 17:30〜20:00 懇親会(お一人様4000 円を予定)

※RUGボードメンバーとの情報交換や、参加頂いた皆様からの意見や情報の提供などのコミュニケーションの場としたいと思います。ぜひ少しお話したいという方は、5/15 までに事務局にご連絡下さい。

■参加申し込み、問い合わせ:
 参加にはRUGに会員登録(無料)することが必要。

 Autodesk Revit ユーザ会 事務局 http://www.revitjapan.com/index.php
 〒102-0083 千代田区麹町5-3-3 麹町KSスクエア 8F
 Email : information@revitjapan.com
 Tel : 03-3222-8950 Fax : 03-3222-8894


あなたは何日間で8階建てビルを作れるか!
「BIMブートキャンプ」の教材を大公開
2次元CADに慣れた建築家や技術者にとって、3次元CADで建物のモデリングを行うのは大変な作業と思われがちです。しかし、BIMブートキャンプの“戦果”をご覧いただいたように、8階建てのビルの3次元モデリングは3週間もあればできるのです。「自分もチャレンジしてみたい」、「自分ならもっと早く作れるぞ」とお思いの読者の皆さんのために、BIMブートキャンプで使ったテキストとBIM対応の建築用3次元CAD「Revit Architecture」の体験版のダウンロード情報をご案内します。あなたは何日間で8階建てのビルを完成させることができるでしょうか。

【使用テキストのダウンロード方法】

「Autodesk Revit 入門テキスト」はPDFで13個のファイルに分かれています。順次、ダウンロードしてお使いください。

(1) 00-mokuji.pdf(1,677KB) (7) 06-class06.pdf(7,292KB)
(2) 01-class01.pdf(6,449KB) (8) 07-class07.pdf(7,053KB)
(3) 02-class02.pdf(3,888KB) (9) 08-class08.pdf(9,965KB)
(4) 03-class03.pdf(8,683KB) (10) 09-class09.pdf(8,233KB)
(5) 04-class04.pdf(7,293KB) (11) 10-class10.pdf(9,607KB)
(6) 05-class05.pdf(7,069KB) (12) 11-furoku01.pdf(2,045KB)
(13) 11-furoku02.pdf(1,189KB)
上記テキスト対応の「練習用CADデータ」
lesson-data.zip(79.63MB) ご使用に当たっては、各自の責任でお使いください


【Revit Architecture 体験版の入手方法】

「Revit Architecture」の無料体験版は、下記のオートデスクのサイトから申し込むことができます。

Revit Architecture 2008 (体験版 DVD、無償)申し込みコーナーへ
※ 体験版の動作期間、対応OS、お届け日数など詳細については上記サイトをご参照ください。

家入 龍太

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