2007/07/20
今、土木業界でも3次元CADが急速に普及し始めている。その3次元CADのデータから、自動的にプラスチック製の模型を作ってくれるのが丸紅ソリューションの3Dプリンタ「Dimension
BST768」だ。
自動車や家電などメーカーなどの間ではベストセラーとなっているこのマシンだが、日本の建設業界ではまだ珍しく、これから様々な模型作成のツールとしての活用が期待されている。
そこで、今回は戸田建設の土木部門であるアーバンルネッサンス部に、この3Dプリンタを持ち込み、地形データと組み合わせたコンクリートダムや新工法を用いた高架橋といった土木構造物や、風力発電用のプレキャストコンクリート製タワーなどを作ってもらった。土木分野において、3Dプリンタはどのように活用できるのだろうか。
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| 今回のモニター評価にご協力いただいた戸田建設アーバンルネッサンス部の佐藤郁さんと、同社開発の「すいすいSWAN工法」による高架橋の模型 | 戸田建設のオフィスの一角に設置した「Dimension BST768」。3ドア型冷蔵庫くらいの大きさだ。造形中は模型のパースを貼り付け、社員が自由に中をのぞけるようにした |
地形と一体化したコンクリートダム模型にチャレンジ
かさばる地形は「格子構造」で材料を節約
丸紅ソリューションの3Dプリンタ「Dimension BST768」は、内部のノズルから熱で溶けたABS樹脂を少しずつ積み重ねながら、立体の模型を作る仕組みだ。
戸田建設でまず、チャレンジしたのが複雑な地形上に設計されたコンクリートダムの模型づくりだった。「地形とダム本体を3次元データ上で合体させた後、そのデータを3Dプリンタから出力して模型を作りました」と、同社アーバンルネッサンス部の佐藤郁さんは語る。
その手順は、地形は数値地図のデータ、ダムの堤体は3次元CADソフトで設計したデータを、3次元モデル作成ソフト「SketchUp」で一体化し、そのデータを「STL形式」というモデル造形用の形式に変換して、3Dプリンタで模型を作成、というものだ。
ただ、山や谷からなる立体の地形は、かなりのボリュームがある。これをすべてプラスチックの材料で埋めてしまうのは経済的でない。そこで使ったのが「格子構造」モードだった。造形を始める際に、このモードをセットしておくと、塊の部分は自動的に格子構造のように肉抜きが行われ、材料の使用量をほぼ半減させることができる。
「このように大きな模型を作るとき、データにエラーがあるのが一番心配です。しかし、『Dimension BST768』なら、造形開始前のシミュレーションでデータのミスを事前に発見できるし、エラーのある状態では造形がスタートしないようになっているので安心できました」(佐藤さん)とのことだ。
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| 地形とコンクリートダムを一体化させた3次元データを作成。STL形式に変換する | STL形式のデータを3Dプリンタ用のソフトに読み込ませると必要な造形時間などが表示される | |||
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| オーバーハングした部分にはサポート材が自動的に付けられる。造形の一層ごとの等高線が表示されている | 地形とダムの模型を出力中の3Dプリンタ | |||
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| 完成した地形とダムの模型。内部は「格子構造」とし、材料を節約している | ||||
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| ダム堤体のクローズアップ。灰色の部分がサポート材 | 左が格子構造、右が材料を充てんしたもののサンプル | |||
微妙な曲線からなる「すいすいSWAN」工法の高架橋部材
3Dプリンタなら正確で簡単に作れる
最近は高架橋などの土木構造物でも、曲線を生かしたデザインのものが珍しくなくなった。戸田建設が鉄道の高架橋を急速に施工するために開発した「すいすいSWAN」工法も、橋桁を支える部材に美しい曲線を生かしている。また、強度や重量などの改良のため、微妙に曲線形状を修正することもある。
「このような部材の模型でも、3Dプリンタだと微妙な形状を忠実に再現できます。設計変更が何回かあっても、3Dプリンタがあれば、常に最新版の模型を作って手元に置いておけるのは魅力ですね」と佐藤さん。
さらに「3次元CGやバーチャルリアリティなどもありますが、模型には周囲の街なみや車両などと同じスケールで、本質的なデザインを検討できるという大きなメリットがあります。また、住民説明会などで施工手順を説明するときも模型の部材を組み立てながら話をすると、よく理解してもらえます」と佐藤さんは続ける。
「Dimension BST768」で作った模型なら、このような用途にも十分使える。模型の材質はプラモデルと同じABS樹脂なので、触ったり、組み立てたりしても十分な強度があるので安心だ。
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| 「すいすいSWAN」工法による高架橋のパーツ。構造を説明しやすいように組み立て式で作ってみた | 複雑な曲線からなるアーチの取り付け部分も設計通りに忠実に製作されている |
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| 高架橋は「Nゲージ」の鉄道模型と同じスケールである150分の1で製作。電車や線路、架線の模型を置いてみることで、デザイン自体のバランスや景観を確認することができる | |
静かに造形中の3Dプリンタに、役員や女性社員も興味津々
普通のオフィスにも無理なく置ける冷蔵庫程度の大きさ
「音は初期のインクジェットプリンタくらい。振動や粉塵も発生しませんでした。大きさも3ドアの冷蔵庫程度なのでちょっとしたスペースがあれば普通のオフィスでも使えそうです」と佐藤さんは語る。
今回、3Dプリンタはエレベーターからオフィスに通じる入り口部分に設置した。造形中、機械には今作っている模型のパースと完成予想時刻を書いた紙を貼り付け、社員が自由に3Dプリンタの内部を“観察”できるようにしたという。その結果、通りがかった役員や女性社員も興味深げに立ち止まり、熱心に3Dプリンタの動きを見物。佐藤さんも説明に大わらわだったそうだ。
最後に、佐藤さんは風力発電タワーの模型づくりにチャレンジした。100分の1と200分の1の2つのサイズで製作し、実物の架設工程を模型で再現できるようにするため、ピアノ線を通して組み立て、分解ができるようにしたものだ。風車の羽根の断面やスピンナーなどの部品は、複雑なカーブから構成されているが、3次元モデルによる設計通り、忠実に製作されている。
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| 風力発電装置の模型を200分の1(左)と100分の1(右)の2つのサイズで製作した。組み立て工程を模型で説明できるようにするため、ピアノ線によって各部材を連結できるようにしている | |

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●製品についての問い合わせ先●
丸紅ソリューション株式会社 デジタルエンジニアリング事業部 モデリングソリューション部 〒150-0002 東京都渋谷区渋谷3丁目12番18号 渋谷南東急ビル 東京 TEL:03-5778-8069/FAX:03-5778-8909 大阪 TEL:06-6395-5525/FAX:06-6395-5549 名古屋 TEL:052-238-3475/FAX:052-238-3469 URL http://www.msol.co.jp/mda/dimension/top.html 問い合わせ https://www.msol.co.jp/mda/dimension/qa_basedata3/index.html |
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