
本日のおすすめ: トラブルに学ぶコンクリ品質
2006/03/26
| 公共事業の受注のみから脱却し、自社でのIT化を契機に関連会社を設立。中小規模の建設会社のIT化を支援するサービスを開始。またASPサービスや積算の代行サービスを通して,ビジネスモデル特許を申請中。いずれの事業もまだ売り上げは少ないが,成長の見通しは広がってきたという泉建設に土木業界のIT事情を聞いた。 | ||
売上高が約1億円の泉建設は,土木工事から管工事や道路工事などまで幅広く手がける。同社が中心となって,中小規模の建設会社への情報技術(IT)の導入を支援する「ドカネット」と呼ぶ会社を2001年7月に設立した。
ドカネットでは,積算などに使うソフトを,ウエブを通じて貸すASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)のサービスを提供。ビジネスモデル特許も申請中だ。
「十数年前に4億〜5億円あった売り上げが減り続け,公共工事の受注だけでは駄目だと考えた」と,泉建設の泉英之社長は振り返る。
ドカネットを設立したきっかけは,泉建設自身のIT化だった。同社は1990年ごろから,積算や工事管理,財務などの業務で全面的にITを導入し始めた。ソフトの購入費用は1000万円を超えたが,出費はそれだけで収まらなかった。ソフトのメンテナンスや更新などに,毎年,100万円以上を費やした。
本業の売り上げが減るに従って,この負担は同社の経営に重くのしかかった。このことが,建設関連のソフトを安い価格で提供できるASP事業に目を向けさせた。様々なソフトをそれぞれ1カ月当たり1万円以下で利用できれば,中小規模の会社もサービスを活用できると考えた。
ドカネットのサービスを受ける会員の大半を富山市内の会社が占めるが,三重県や岐阜県など遠方の会社の登録も舞い込み始めている |
積算の依頼でニーズを確信
全国に約60万社ある建設会社の1%を会員にして,初年度は1億5000万円の売上高を達成する――。これがドカネットを設立した当初の目標だった。しかし,2005年8月末時点の会員数は約100社。年間の売上高も数百万円で,目標を大きく下回っている。中小規模の建設会社にパソコンを使いこなせる人材が少なかった点と同社の営業力不足が低迷の一因だった。
「なかには,サービスを使いこなせずに,ファクシミリや宅配便で資料を送ってきて,『積算してほしい』と依頼する会員もいた」と,泉社長は語る。泉社長はこうした依頼から,ニーズはあると確信。積算の代行サービスを開始したところ,会員が少しずつ増加している。電子入札の導入が進むに従って,積算の代行サービスは急成長すると泉社長は考える。
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「ドカネット,アクアフローとも5年後には事業の柱にしたい」と,泉英之社長は語る (写真:特記以外は原武雄) |
夏も使える融雪パネルを開発
ドカネットの売上高は,現状ではサーバーの維持費用を賄える程度だ。しかし,IT事業は建設技術の開発に結び付いている。
例えば,泉建設は2005年4月,舗装材料として使える湧水型の融雪装置「アクアフロー」を製品化した。その技術はすでに2003年10月に特許を申請している。
ドカネットのホームページを見たある合成樹脂メーカーが,泉建設に連絡して開発に結び付いた。このメーカーは透水性に優れた接着剤を開発したものの,特性を生かした用途を見つけられないでいた。連絡を受けてから6カ月後の2002年1月,砂利を接着剤で固めた透水パネルが完成した。コンクリートの5倍以上の透水性能を持つので,排水溝のふたなどに使える。
さらに,泉建設では社長と社員が一緒に透水パネルを応用する技術開発に取り組んだ。その結果,アクアフローが生まれた。「川の水を枯れ池に引くための取水装置として透水パネルを使ううちに,開発のヒントを得た」(泉建設の池田優介氏)。
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泉建設の池田優介氏。ドカネットの業務をこなした翌日は,ダムの建設現場に出向くことも。「日々の仕事にメリハリがあって面白い」(池田氏) |
融雪装置のアクアフローは,透水パネルの下に遮水パネルを敷き,2枚のパネルの間に送水管を設置。パネルの表面に水をわき出させて雪を溶かす。夏には打ち水装置になるので,都市部でも利用できる。
新技術がもたらす売り上げはまだ少ないものの,販路は開けてきた。アクアフローは不動産会社を代理店にして,新築住宅向けに営業を開始。透水パネルは富山県など自治体のほか,大手ホームセンターへの売り込みを始めた。いずれも手ごたえは大きいという。
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●会社概要 所在地●富山市 |
(出典)日経コンストラクション 2005年9月23日号68〜69ページの記事をもとに再構成しました。記事中のデータは当時のものです。
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