連載
建設産業の就職・転職事情
目次
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[第5回]希望者減の背景に薄れる大義
大学から「土木工学科」の名称が、消え始めて久しい。土木学会誌2005年7月号の特集「土木工学科の変革」に掲載された東北大学の平野勝也准教授の論文によれば、高度成長期に最大72も存在した土木工学科は、1990年代に国立大学を中心として減少しだし、2000年代に入って私立大学でもいっせいに改称が進んだ…
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[第4回]選ばれる側になった国土交通省の苦心
ここ数年は公共工事の発注者である官庁でも、技術系職員の確保に苦労している。国土交通省で技術系職員の採用を担当する大臣官房技術調査課の井林辰憲技術調査係長は、その理由を「民間企業との採用時期のズレが、一番の原因だ」と説明する。
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[第3回]不動産に流れる建築技術者、行き場の少ない土木技術者
建設業を離れた人材が、不動産業界へ流入している。建設・不動産業界の転職を仲介しているリクルートエージェントの清野慎太郎リクルーティングアドバイザーは、「建築分野と不動産分野の親和性が高まっている」と話す。転職市場においては、なかでも不動産金融分野のプロパティマネジャーやコンストラクションマネジャー…
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[第2回]人材不足の背景にあるもの
ゼネコンをはじめとする建設業の人材不足の背景には、残業や休日出勤の多さなど、慢性的な労働時間の長さも影響している。公共工事は縮小傾向にあるとはいえ、電子入札やISO対応などで書類作成業務が増え、民間工事の受注は短工期化が著しい。仕事量の増加から一人当たりの労働時間が増加し、労働条件の悪さも一因とな…
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[第1回]学生のゼネコン離れ
建設・不動産業界の人的資源の現況を観察したとき、最も人材を集めにくくなっているのはゼネコンといえそうだ。「ゼネコンの技術系採用は増えているが、大学院の推薦枠が余っている。談合などダーティーなイメージが強く、親も就職を勧めない」。東京大学大学院修士のある学生はそうもらす。大学は名古屋大学の土木系学科…