新しい建築の鼓動
目次
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施工現場の面白さが伝わっていない、建築家・内藤廣氏(その7~施工の魅力)
教えないでしょうね。モデレーターというか翻訳者がいないのです。若者に翻訳する人がいないとだめですよ。あんなに面白い世界なのに、それがちゃんと伝わっていないということもあると思います。
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本物の建築を生み出す若手世代を待望、建築家・内藤廣氏(その6~学生へ)
日本の社会では、問題が山積です。地球環境の問題もあるけど、それだけではなくて地方都市や農山村に関するもの、それから少子高齢化、都市再生の後始末などなど、たくさんあるわけです。そういう問題に対してもっと目を向けてほしい。そこを乗り越えるブレークスルーのための手段としてデザインに期待したい。
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今の立場は建築の実績があってこそ、建築家・内藤廣氏(その5~二足のわらじ)
頭の切り替えは、割と簡単にできる方なんですよ。苦労していた30代も建築だけでは飯が食えないので、事務所の中で都市計画的なこと、それから広域計画みたいな仕事をやっていましたから25万分の1というスケールの地図を広げても怖くないのです。25万分の1で計画をやった後、1分の1の原寸図で検討することも日常…
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このままでいいのかという思いがわきあがる、建築家・内藤廣氏(その4~転機)
僕は割と10年ごとに山場が来るんですよ。例えば、30歳を少し過ぎて独立して、海の博物館が完成するまで10年ちょっと。この間はもう本当に試行錯誤の連続でした。海の博物館で評価してもらっていろいろな仕事にかかわれるようになって、40代は美術館をはじめ、様々な仕事をさせてもらいました。
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娘たちが現場を歩く姿を見て決心、建築家・内藤廣氏(その3~独立直後)
実はもう少しいるつもりでした。僕にプロジェクトを預けるとうまくいくのが分かったからか、常時4つぐらい仕事を任されていました。ただ、もうちょっと実務に即した勉強をしなくてはと思って菊竹さんにそろそろ辞めたいと切り出すと、「待て」と止められました。
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自分に最も不向きな菊竹事務所へ、建築家・内藤廣氏(その2~独立前)
やけくそですよ(笑)。建築で立っていくということはもうあり得ないとも感じていましたし。自分の未来は、1対3ぐらいの割合でうまくいく可能性の方が低いだろうと思っていました。だけど1人ぐらいは、あほなやつがいてもいいかと。
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社会に飛び出すあなたへ
これから社会人になろうとしているあなたは、もうすでに気がついているかもしれません。建築の仕事というのは、現代社会ととても密接に、そして複雑に関係し合っています。
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内なる感覚でとらえ見たい空間を現実に、大西麻貴氏+百田有希氏
20代半ばながら話題の2人だ。大西麻貴氏がメディアに初登場したのは「せんだいデザインリーグ2006卒業設計日本一決定戦」での3位入選。「図書×住宅」という題名通り、チューブ状の図書空間と住宅空間が交錯して、重なった場が書斎や広場のスケールに変わる。「彼女の好きな本を起点に内側から考えていくことと、…
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日本の建築技術にプライドを、建築家・安藤忠雄氏
私は建築に夢を見てきた。もう“箱”は要らないといわれるが、日本の建築技術は、1945年に焼け野原となったこの国をここまでつくり上げてきた。都市や建築は、もう少し計画性があった方が良かったかもしれないが、よくつくったと思う。
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バランスを最重視し抽象と一線を画する、建築家・石上純也氏
会場中央の吹き抜け空間に漂う巨大なアルミの構造物。2007年10月から08年1月にかけて開催され、話題を呼んだ東京都現代美術館の「Space for your future」展。なかでも、石上純也氏の「四角いふうせん」の注目度は抜群だった。豆粒ほどの大きさの花瓶やコップを無数に置いた「リトルガーデ…
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母国の大型開発を次々と、日建設計・陸鐘驍氏
日建設計で、中国の仕事を一手に引き受ける。都市計画から超高層ビル、内装まで、担当するプロジェクトは13に及ぶ。そのため、現地での打ち合わせに頻繁に赴く。「すべての発注者と会うと最低1週間はかかるが、楽しんでいるので大変だとは思わない」と笑う。
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漫画になるくらいの突出した個性がほしい、漫画家・弘兼憲史氏
2008年春、島耕作が社長になった。講談社「モーニング」誌上に「課長島耕作」として登場してから25年。弘兼憲史氏が生み出したサラリーマン漫画のヒーローは、初芝五洋ホールディングスの初代社長に就任し、トップに上り詰めた。 国内にとどまらず、ニューヨークや上海、インドなど、島耕作はこれまで国境をまたに…
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自ら動けば世界は広がる、アーティスト・坂口恭平氏
日本には既に十分すぎるほどの建物が存在している。にもかかわらず、超高層ビルが次々と建設され、スクラップ・アンド・ビルドが繰り返される。「人が住むための建築なのに、なぜ無駄につくり続けるのか。産業として、機械的に建築がつくられていく。その矛盾を指摘する人もいない。その状況に憤りを感じる」と坂口恭平氏…
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大学へ行かず何に対しても反発、建築家・内藤廣氏(その1~大学時代)
建築家の山口文象(1902-78年)さんの進言が大きいですね。僕の母親の実家が山口家の隣で、幼いころは山口家のプールで泳いだりしていました。山口さんがそんなに偉い建築家だとは知らずに、高校の時に相談に行って「何をやりたいかよく分からない」と言ったら、「建築をやっていたら何にでもなれるから取りあえず…
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【私の心を揺さぶった名建築】環境からカギを見つけて体感できる建築を目指す、落水荘/隈研吾氏
「この人と同じ仕事をできるだけで自分は幸せだと思った」。隈研吾氏は1985年に落水荘を訪れた時のことをそう振り返る。もちろんその前から写真や図面は見ていた。それでも、「写真を見るだけでは自然を想像できない。特に水は、聴覚に及ぼす影響が大きいからだ」と言う。
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【私の心を揺さぶった名建築】建物に寄生した自然こそ美しい、芝棟/藤森照信氏
「建築と植物は視覚の面で相いれないもの。その唯一に近い例外が芝棟だ」。こう藤森照信氏は説明する。ピラミッドのように盛り上がった萱葺き屋根に緑がほんの少しだけ顔をのぞかせる。日本とフランスのノルマンディ地方だけに見られる建物だ。雪国以外の地域で、防寒のために屋根に土をかぶせ、土が流れないように草を植…
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【私の心を揺さぶった名建築】外部空間の心地良さを教えてくれた、ザ・ブルーウオーター/手塚貴晴氏
ロビーを流れる水の先にはプール、その向こうにはインド洋が、一続きの絵のように展開している。スリランカを代表する建築家ジェフリー・バワが最後に手掛けたホテル「ザ・ブルーウオーター」だ。「私たち夫婦が求めていたライフスタイルは、すべてここにあった」と、手塚貴晴氏は感動する。「人間は家の中にずっととどま…
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【私の心を揺さぶった名建築】心引かれた自然に溶け込む構造体の美しさ、ミュンヘン動物園の鳥舎/岩村和夫氏
「ネットの存在を感じなかった」。膜構造の第一人者であるフライ・オットー氏が手掛けた鳥小屋に入った時のことを、岩村和夫氏はこんなふうに振り返った。10本のマストがザイルネッツを支えるオーガニックな造形の構造物の内部には、木立や営巣場所、小川、芝生などを設けている。「対比されがちな建築と自然環境が、こ…
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【私の心を揺さぶった名建築】古い空間に「今」を衝突させた魅力的な空間、カステルベッキオ美術館/青木茂氏
1982年に安藤忠雄氏が率いた欧州ツアーになけなしの100万円で参加して出会ったのが、カステルベッキオ美術館だった。「古い空間に今という時間を衝突させることが、ゼロからつくるよりもはるかに魅力的な空間になることにショックを受けた」と、青木茂氏は振り返る。
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【私の心を揺さぶった名建築】都市をつくる論理は一つではないと知る、ガルダイアのモスク/小嶋一浩氏
「25年前にアルジェリアのガルダイアを訪れた時はイスラム建築に目を奪われた。その後、造形に論理的な意味があると知って衝撃を受けた」と小嶋一浩氏。それらはまれに降る雨水を貯留する施設を兼ねていた。「地球上には僕らの想像を超える物事のでき方がある。方法は一つではないと思い知った」。