東京・赤坂見附の交差点付近、国道246号沿いに、ブリッジでつながれた白い大小のツインビルが建っていたのをご記憶の読者も多いだろう。スーパーゼネコン、鹿島の旧本社だ。

 2007年7月、この旧本社ビルの隣に鹿島の新しい本社ビルが誕生した。窓の周りを白い格子が覆う外観は、以前のビルのイメージを踏襲したもの。旧本社のツインビルが並び建っている隣にできた“子世代のビル”とでもいおうか。

 新本社の建設と同時に、鹿島は東京メトロ赤坂駅の近くにある赤坂別館を建て替えた。1964年に竣工した同別館には、関連会社の鹿島出版会などが入居していた。

 建て替え後の赤坂別館には、旧本社にあった建築や土木の管理本部のほか、これまで分散していた開発事業、環境、エンジニアリングの各本部などを集約。建築や土木の設計本部が入る隣のKIビルとブリッジでつないだ。

 こうした部門の再配置によって、新本社ビルはコーポレート機能に特化することになった。旧本社ビルは取り壊し、今後何らかの事業化を図る予定だ。

鹿島の新本社。白い格子状の外観が印象的な14階建てのビルだ(写真:守山 久子)
鹿島の新本社。白い格子状の外観が印象的な14階建てのビルだ(写真:守山 久子)

階高は高くフロア面積は広い

 取材で訪れた2008年1月中旬、旧本社ビルは工事用の仮囲いに覆われていたが、外観はまだ残っていた。新本社と旧本社が並び建つ様子を見ると、すぐ気付くことがある。格子状の白い壁が窓まわりを取り巻くデザインは同じだが、窓の縦と横の比率がまったく違うことだ。窓の形状が、旧本社ビルは横長だったのに対し、新本社ビルはやや縦長になっている。

 旧本社ビルの1棟目ができたのは1968年。高度成長期のさなかだった。それから40年が経ち、現代の子どもたちが親の世代と比べてスラリとしてきたのと同様、新本社ビルのオフィス空間の進化も、プロポーションの変容に現れている。