大地震に備える――オフィスの安全と事業継続のために
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まず家具の固定から――社員を守るオフィスの地震対策
書類を詰め込んだ背の高い収納庫が横倒しになっている。別のオフィスでは机の上にあったパソコンのモニターが床に落ち、机の引き出しが飛び出している。大地震後のオフィスの惨状を記録した写真だ。
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事業継続性評価で浮かび上がるビルの弱点
<地震発生> 午後4時。突き上げるような揺れが突然、オフィスを襲った。立っていられないほどの振動で、思わず机にしがみついた。ゴーッという地響きに、何かが割れる音、落ちる音。「地震だ」「キャー」「落ち着け」という叫び声が交錯する。机に向かって仕事をしていた従業員のほとんどが、恐怖で床に座り込んでしまっ…
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迫り来る危機
能登半島地震(2007年3月25日)、三重県中部地震(4月15日)、新潟県中越沖地震(7月16日)と、今年に入って大きな地震が相次いだ。2005年の福岡西方沖地震は、大地震発生の可能性が低いとされた地域で起きた。「そろそろ関東地方でも……」と危惧する人は少なくないだろう。内閣府中央防災会議は200…
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地震に強い建物のしくみ -免震、制震、耐震はどう違うのか-
福岡市内で大きな地震を経験した旭化成は入居するオフィスビルを決める際、耐震性能を判断基準の一つに挙げ、免震ビルを選択した。マブチモーターは、地震後の事業継続を考えて本社ビルに免震構造を採用した。地震に強いといわれる免震構造だが、耐震や制震などの構造とどう違うのだろうか。
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阪神大震災を機に19棟の免震オフィスビルを開発、住友不動産
港区東新橋にある汐留住友ビルは、超高層ビルで初めて中間免震構造を採用した建物だ。低層階には、高さ40mの吹き抜けの巨大なアトリウムと「ホテル ヴィラフォンテーヌ汐留」。14階から21階までの高層階は、香港上海銀行、ジャパンネット銀行など金融やIT関連、外資系企業などが入居するオフィスフロアだ。高層階…
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「本社機能を止めるな!」、免震ビルをつくったマブチモーター
従業員の安全が第一条件。世界中の拠点への情報発信機能を維持できる耐震性能に――。こうしたコンセプトに基づき、千葉県松戸市にあるマブチモーターの本社屋は、免震構造を採用して2004年9月に建設された。
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福岡地震後に高まった免震ニーズ
「地震が起きた翌日、出社すると、キャビネットが倒れたり、書類が散乱している部署もあった」と、旭化成総務部の吉開千明氏は振り返る。福岡県西方沖地震が起きたのは2005年3月20日の日曜日。福岡市内の一部地域では震度6弱を記録した。同社では倒れたキャビネットを元に戻す程度で業務は再開できたが、近隣にある…