不動産市場の透明度向上への動きは、金融危機後の2008年~2009年に減速したが、その後の市場回復を受けて勢いを取り戻してきた。マーケットファンダメンタルズに関するデータやパフォーマンス測定の改善、上場ビークルのガバナンス向上にけん引され、世界97の対象市場の約90%で2010年の前回調査より改善した。最も透明度が高かったのは米国だ。これに英国とオーストラリアが僅差で続いた。このほか、オランダ、ニュージーランド、カナダ、フランス、フィンランド、スウェーデン、スイスの透明度が高い。一方、透明度が最も向上したのはトルコだ。成長市場であるMIST (メキシコ、インドネシア、韓国、トルコ)のうち、韓国以外の2市場も透明度向上ランキングで上位を占めている。これに対し、日本は透明度ランキングで25位、韓国は41位と、いずれも前回調査からは多少向上したが、他の主要経済大国に比べて低い結果となった。両国とも、オフィスセクター以外のマーケットファンダメンタルズの情報が乏しく、共益費に関する透明度が低い。