G-TERRACE紀尾井町
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KWレジデンス麹町
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 PAGインベストメント・マネジメント(本社:港区)が、相次いで国内の大型不動産ポートフォリオを取得したことが明らかになった。合計金額は約1600億円に上る。

 7月24日に取得したのは、米General Electric(GE)の不動産部門、GE Capital Real Estateが日本国内に保有する約1000億円の不動産ポートフォリオだ。オフィスビルを中心に、商業施設を含む合計26棟で構成されている。ポートフォリオの中には、GE Capital Real Estateがアジア太平洋地域の本部機能を置く、G-TERRACE紀尾井町(旧・紀尾井町ケルトンビル)も含まれている。

 セキュアード・キャピタル・ジャパンを前身とするPAGインベストメント・マネジメントは、香港の投資会社PAG(旧Pacific Alliance Group)の一員として、アジアでの不動産投資を積極化している。今回取得したGEのポートフォリオは、グループのコアファンドであるPAG Real Estate Partners (PREP)に組み入れた。

 また、PAGは5月末にも、KW Investment(現・Kennedy Wilson Japan、本社:千代田区)から東京、大阪を中心とする50棟、2410戸の住宅ポートフォリオを取得している。物件価値は全体で585億円になる。取引は米Kennedy Wilson(ケネディ・ウィルソン)と、同社の共同投資パートナーであるカナダの保険大手、Fairfax Financial Holdingsから、全体の95%の出資持分を取得する形で実行された。

 ケネディ・ウィルソンは残りの5%の持分を継続保有するとともに、日本法人を通じて既存物件のアセットマネジメントを担当する。同社は2002年にケネディクスの株式を売却し、2006年から今回の住宅ポートフォリオの構築を開始。運用期間を通して6400万ドル(約80億円)の利益を計上した。

GEの不動産投資は幕引き

 GEは近年、ジェフリー・イメルト会長の下で産業機械など本業への回帰を進める一方で、金融危機後の経営圧迫要因になった金融部門の縮小に動いてきた。不動産売却も同社のグローバル戦略の一環。2014年11月に日本の住宅ポートフォリオを約2000億円で、2015年4月には米国と欧州の不動産やローン債権を265億ドル(約3兆2000億円)で、米ブラックストーンなどに売却している。日本に残るオフィスビルなどの資産についても、今年に入り売却活動が本格化していた。

 今回の一連の売却活動で、GEは前述のPAGに加え、いちごグループホールディングスへ24棟、約500億円の国内オフィスビルを譲渡している。さらに、米ローンスターにも、地方を中心に多数の物件を売却したもようだ。1997年にGEリアル・エステートとして日本に参入し、一時は国内で数千億円の資産規模を誇ったGEの不動産事業だが、一部の業務を残して事実上の幕引きに向かう。