「インフラの投資需要は世界的に高まっている」、「リファイナンスリスクが表面化したときのことも考えておかなければならない」――。日経不動産マーケット情報などが6月23日に開催した「インフラ投資・PPPフォーラム」のパネルディスカッションでは、早くからこの分野に取り組んできた年金基金、生命保険会社、REIT運用会社、建設会社などの代表者が知見を披露した。

 東京証券取引所がインフラファンド市場を開設し、仙台空港や関西国際空港などではコンセッション方式の導入に向けて準備が進むなど、日本国内でもインフラ投資への関心が高まっている。フォーラムでは、インフラ投資のリターンやリスクについて整理するとともに、投資スタンスや注意点について意見を交換した。

 以下は、パネリストから寄せられた意見の一部だ。全容は、このほど開設したインフラ投資・PPPフォーラムの特設サイトで読むことができる。

▼一過性のブームでは終わらない
インフラの投資需要は世界的に高まっており、財政を含めて歳出削減がグローバルで発生している。おそらく長期的トレンドであり、単なる一過性のブームでは終わらない。従って、それなりの専門人材を育成し、コストをかけて体制をつくっても十分ペイすると考えている。

▼重視すべきは……
投資家として最も重視するのは、官、民、そして公共サービスを受ける利用者を含めた当事者全員がWin-Winの状態になることである。直接投資の場合はもちろん、ファンド投資でも委託先候補を訪問する際は、過去の案件がこのバランスをしっかり保てていたか注意してみている。

▼投資の時間軸やリターンの源泉を考えてみる
流動性のない長期投資資産を対象とする場合、時間軸は5年か10年か15年か、リターンの源泉はキャピタルゲインかインカムゲインか。このように分けるとシンプルで、自分たちの目的が明確になってくる。

▼売りたいときに売れないリスクも
マーケットがクラッシュし、リファイナンスリスクが表面化したときのことも考えておかなければならない。売りたい時に、すぐには売れないことをどう捉えるか。インフラファンドとして上場した場合に、この問題をどう解消できるかは大きなポイントである。

▼都市部は外せない
人口が集中する大都市は需要予測もブレがないことから、民間資金が入りやすい。一人当たりのPFI投資額をみると、ロンドン地区に英国の全国平均の3倍のお金が集まっている。全世界の人口が約70億人で、その半分が都市部に住んでいることを考えても、民間資金のインフラの矛先として都市部は外せないだろう。

▼欧米ではアベイラビリティー型が増えている
投資家にとっては、需要リスクや政策変更リスクをどのようにヘッジできるかが関心事だ。そのための手段として、欧米では需要リスクを運営者が負わないアベイラビリティー型の案件が増えている。需要リスクを負う場合も、政府が最低収入を保証する案件がある。