地価上昇をけん引した銀座

 国土交通省が3月18日に発表した2015年1月1日時点の公示地価によると、中央区の商業地が前年比で平均7.2%上がるなど、東京都心で地価の上昇傾向が鮮明になった。千代田区の商業地は前年比5.7%、港区も同5.6%それぞれ上昇した。都心3区の商業地ではいずれも、前年4%台だった上昇率がさらに拡大した。

 中央区の地価をけん引したのが銀座だ。景気回復や外国人観光客の復調、大規模再開発の波及効果などで、店舗需要が堅調になっている。国交省の土地鑑定委員会では「銀座の路面店では、中央通りで月坪15万円~30万円程度、並木通りやみゆき通りで月坪15万円~20万円程度で賃借されたとの噂がいくつか出ており、賃料の上昇傾向が表面化している」と指摘している。全国約2万3000地点のうち、地価が最も高かったのは中央区銀座4-5-6の山野楽器銀座本店で1m2あたり3380万円。上昇率も前年比14.2%となり、商業地で全国3位の高い伸びを記録した。

 千代田区では、丸の内や大手町のオフィス拡張需要によって、空室率が低下するとともに賃料が上昇。投資需要も堅調になっている。CBREが2月16日に発表した調査によると、丸の内・大手町にあるAクラスビルの想定成約賃料は2014年12月時点で1坪当たり4万2600円となり、前年比で4.7%上昇した。空室率も1.3%の低水準で、前年から4.7ポイント改善した。

 港区では、虎ノ門1-15の土地が1m2あたり580万円と前年比9.8%上昇した。虎ノ門ヒルズの竣工に加え、地下鉄日比谷線の新駅計画など大型プロジェクトへの期待が背景にある。

 都心3区の住宅地も、前年比で平均6.0%~6.4%上昇した。2020年東京五輪の競技会場が集中する湾岸エリアや千代田区番町地区、港区六本木・麻布・南青山地区など、高級マンションが立地する地域において、地価上昇が目立っている。