大和ハウス・レジデンシャル投資法人の発表(資料:大和ハウス・レジデンシャル投資法人)

 大和ハウス・レジデンシャル投資法人は3月18日、大臣認定の性能評価基準に適合していない東洋ゴム工業製の高減衰ゴム系積層ゴム支承(免震ゴム)を使った集合住宅が1物件見つかったと発表した。物件名は非公表。J-REIT(不動産投資信託)の運用資産で、大臣認定不適合の免震ゴムの使用が判明したのは初めてだ。

 投資法人によると、東洋ゴム工業は問題の建物の安全性に影響がないかどうかを構造計算によって確かめるよう、建設会社と設計事務所に依頼している。1カ月以内に交換が必要かどうかなどの結論を出す。さらに、東洋ゴム工業は今後、免震ゴムの大臣認定を取り直すべく手続きを進めるという。

 免震ゴムの交換が必要となった場合の費用は、現時点で確定していない。投資法人は、工事などで一時的な費用が発生したとしても184億円の内部留保から支払い、分配金に影響を与えないようにする。要した費用は最終的に、東洋ゴム工業に請求することになりそうだ。

 投資法人は現在、運用資産として賃貸マンション134物件と高齢者向け住宅2物件を所有している。東洋ゴム工業からは当初「問題の免震ゴムが使われている物件はない」との回答を得ていたが、3月17日になって1物件で使用が見つかったとの連絡があった。

 国土交通省は3月13日、東洋ゴム工業が製造した免震ゴムについて、(1)大臣認定の内容に適合しない製品を販売していた(大臣認定不適合)、(2)不正な申請書を提出し建築基準法に基づく性能評価・大臣認定を受けていた(大臣認定不正取得)――と発表した。大臣認定不適合で出荷した免震ゴムは2052基で、地震の揺れを減衰する性能が大臣認定品よりも低い恐れがある。同日時点で集合住宅25物件を含む計55物件に使われたことが判明している。

 同省は3月17日、大臣認定不適合の免震ゴムが使われた庁舎や病院などの公共施設として、長野市第一庁舎など15物件の具体名を公表した。一方、民間の集合住宅などの物件名は公表していない。