京都市左京区にある下鴨神社は、敷地の一部に50年間の定期借地権を設定して分譲マンションを開発する。事業主は賀茂プロパティーズワン合同会社。CRE(企業不動産)戦略や不動産証券化のコンサルティングなどを手がけるエスアイ・アセットサービス(本社:港区)の小野祥吾社長が職務執行者に就いている。設計・施工は竹中工務店が手がける。

マンションの完成予想図。桂離宮や二条城二の丸御殿などを参考に、建物を8棟に分けて配置。樹木と共存させる(資料:下鴨神社)

完成予想図とほぼ同じ方向に撮影した現在の様子(写真:下鴨神社)

 神社は年間8000万円の借地料を得て、社殿の修復や周辺の環境整備に充てる方針だ。今後の事業体制について、エスアイ・アセットサービスは「現時点で話せることはない」としているが、同社はプロジェクトマネジメント業務などを担い、マンション販売会社などと提携する可能性が高い。

 計画地は、下鴨神社が所有する約12万m2のうち、南端に位置する9647m2のエリア。京阪・叡山電鉄出町柳駅から徒歩5分の場所だ。計画地内に8棟で構成する地上3階建て、計107戸のマンションを建設する。1戸あたりの専有面積は80m2ほどになる。2015年11月に着工し、2017年2月の竣工を予定している。

 京都市の特別修景地域に指定されているため、建物高さを10mに抑えるほか、日本瓦をふいた和風の外観とする。さらに、神社の境内に広がる「糺(ただす)の森」と同じニレ科の樹木を植栽する。

マンションの建物計画。和風の外観にして、景観を保全する(資料:下鴨神社)