一般社団法人不動産協会の木村惠司理事長(三菱地所会長)は、3月13日の記者会見で建設費高騰の影響について問われ、「今のところ事業を止めるという話は聞かないが、価格転嫁できないので利益率は下がっている。今後、さらに上がるようなら事業の中止や延期が出てくる」と語った。

 不動産協会によると、建設費はこの1~2年の間に20%~30%上昇し、リーマンショック前の2007年~2008年と同じような水準になった。価格調整はほぼ終わり、今後、大きく上がることはないという見通しだ。もし上昇が続いた場合は、用地費の比率に比べて建設費の比率が高い郊外や地方で、特に影響が大きいという考えを示した。

 一方、オフィスの賃料水準については、現状の空室率7%が今後5%になった段階で大幅な上昇に向かうとの認識だ。オフィス需要は徐々に増えており、賃料が上昇する時期は2015年とみている。ただ、オフィス床の供給量が多い2016年を越えて賃料が長期的に上昇するには、安倍政権の成長戦略の成功と、これに伴う外国企業の需要増が欠かせないという。外国企業を日本で育てるしくみや法人税の減税が有効との考えだ。