日土地虎ノ門ビル。背後に見えるのは虎ノ門ヒルズ
日土地虎ノ門ビル。背後に見えるのは虎ノ門ヒルズ
基準階平面図。専有部面積は813m2。エレベーターや階段を収めた建物のコアを南側に配置し、熱負荷を抑える(資料:日本土地建物)
基準階平面図。専有部面積は813m2。エレベーターや階段を収めた建物のコアを南側に配置し、熱負荷を抑える(資料:日本土地建物)
エレベーターホールのフローリングは厚さ15mmの栗の無垢材だ。ビル全体で19m3余りの木材を使用した
エレベーターホールのフローリングは厚さ15mmの栗の無垢材だ。ビル全体で19m3余りの木材を使用した
11階の事務室にはガーデンテラスがある。このフロアの賃料は、ほかのフロアより高く設定した
11階の事務室にはガーデンテラスがある。このフロアの賃料は、ほかのフロアより高く設定した
天井高2.8m。オフィスフロアのカーペットは米国の建物環境認証システムLEEDに対応した製品を使った
天井高2.8m。オフィスフロアのカーペットは米国の建物環境認証システムLEEDに対応した製品を使った
外ガラスと内ガラスの間に空気を通す「エアフローウィンドウ」を採用し、日射による熱負荷を低減する。ガラスはLow-eペアガラス。自動制御のブラインドも装備した
外ガラスと内ガラスの間に空気を通す「エアフローウィンドウ」を採用し、日射による熱負荷を低減する。ガラスはLow-eペアガラス。自動制御のブラインドも装備した

 日本土地建物の環境フラッグシップビルとして10月に竣工した日土地虎ノ門ビルが、このほど報道陣に公開された。オフィス10フロアうち8フロアのテナントが決定。残る2フロアについても交渉中だ。

 ビルは地下鉄虎ノ門駅徒歩3分の場所にある。地上11階地下1階建て、延べ床面積1万1507m2、賃貸可能床面積8179m2の制震構造だ。2010年に取得した土地は約120億円。ビル建設費は推定35億円前後で、1坪あたりの建設単価は100万円弱とみられる。これらを含む総投資額は約170億円だ。

 環境配慮を印象付けるのは、オフィスフロアのエレベーターホールのフローリングだ。栗の無垢材を敷き詰めている。外気と接する窓周りにも工夫が多い。外ガラスと内ガラスの間に空気を通す「エアフローウィンドウ」を採用し、日射による熱負荷を低減する。ガラスはLow-eペアガラスで、自動制御のブラインドも備えた。照明はすべてLEDだ。省エネ性能の指標である年間一次エネルギー消費量の予測値は741MJ/m2と、一般的なオフィスビルに比べて極めて低い。

 テナント専有部に非常用のコンセントを設け、停電時でもビルの非常用発電装置が電気を供給する。携帯電話の充電ができるほか、パソコンやテレビなども使用できる。雨水をトイレの洗浄や壁面緑化の散水に利用するための貯水槽は、約10%の節水に貢献する。断水時でも一部のトイレを利用できるようにした。

 日本政策投資銀行の建物環境認証では最高ランクのプラチナの格付けを取得。米国の建物環境認証システムのLEED-CSでは、上から2番目に位の高いゴールドの事前認証を取得している。



[開発の概要]
名称:日土地虎ノ門ビル
所在地:港区虎ノ門1-10-5(住居表示)
最寄り駅:地下鉄虎ノ門駅徒歩3分
面積:土地1536.83m2、延べ床1万1507.82m2、賃貸可能床8179.00m2
構造:S・SRC造(制震)
階数(地上/地下):11/1
駐車台数:36台(機械式)
用途:事務所・店舗
事業主:日本土地建物
設計監理者:日本土地建物(設計統括)、日建設計(構造)、清水建設(設備)
施工者:清水建設・坂田建設・日土地建設JV
工期:2012年3月~2013年10月
総投資額:約170億円。うち土地取得費約120億円、建物建設費35億円前後(推定)
PAL低減率:26.33%、ERR:43.59%
年間一次エネルギー消費量の予測値:741.37MJ/m2

LEED-CS:ゴールド(事前認証)
DBJグリーンビルディング認証:プラチナ(プラン認証)
CASBEE:S