日本の不動産会社によるシンガポールへの進出が相次いでいる。

 NTT都市開発は5月8日、現地での駐在員事務所の開設を発表した。東南アジアの成長市場で投資機会を発掘するためで、同社による海外拠点の開設は英国、オーストラリアに続くもの。翌5月9日に発表した中期経営計画では、2015年度までの3年間で、投資額全体の15%にあたる400億円を海外事業に充てる方針を明らかにした。

 仲介業務を手がける東急リバブルも5月1日、現地大手仲介会社のOrangeTee.com(オレンジ・ティー・ドットコム)と提携し、現地に合弁オフィスを立ち上げた。同社は2012年4月、米機関投資家のCALSTRS(カリフォルニア州教職員退職年金基金)から不動産担当CIO(最高投資責任者)のCharles Hasse氏を迎えて、東京の本社に海外営業部門を開設済み。今回の合弁オフィスはこの海外営業部門と連携して、日本の不動産に関する情報を現地企業や欧米ファンドの駐在社員に発信していく。

 日本企業による海外不動産の取得件数は2012年、前年比で倍増した。相次ぐシンガポール進出の背景には、デベロッパーの海外投資熱がある。現地投資家との関係構築を狙う仲介、プロパティマネジメントといった分野の企業の進出も目立つ。

 すでにザイマックスが2012年10月に現地事務所を開設しており、今年3月にはトーセイがシンガポール市場に上場。また三菱地所は政府系デベロッパーのキャピタランドとオフィスビルを、三井物産はアセンダスと工業団地をそれぞれ現地で開発中だ。成長著しいベトナム、インドネシアなどへのアクセスも良いことから、シンガポールは東南アジアの情報ハブとなりつつある。