東日本大震災から丸2年。仙台エリアでは、被災者や復興関連企業の転入で住宅の需給が逼迫している。その結果、賃貸マンションへの投資が拡大し、価格の上昇や利回りの低下が進む。日経不動産マーケット情報の現地調査とシンクタンクなどの分析から、最新動向を明らかにした。

 本誌が仙台市中心部の震災後の主要な取引事例72件を調べたところ、20件が寄宿舎を含めた賃貸マンションで、REIT(不動産投資信託)やファンドの取得が4割を占めていた。取引されているマンションの築年数をみると、リーマンショック前の2007年~2008年ごろに竣工した物件が目につく。

 取引が活発になるにつれて価格は上昇し、利回りは低下傾向にある。期待利回りも下がっている。日本不動産研究所の「不動産投資家調査」によると、震災直後の調査で8%だった仙台市中心部の賃貸マンションの期待利回りは、2012年10月時点で7.5%まで低下した。オフィスや商業施設と比べて動きが目立つ。

 東北地方では、区分所有のマンションの取引価格も上がっている。国土交通省の住宅を対象にした不動産価格指数の速報値を見ると、震災前に比べて3割ほどアップした。

 オフィスビルの稼働率も上がっているが、ビルの取引自体は賃貸マンションほど活発になっていない。取引の多くは延べ床面積1000m2~4000m2のビルで、築20年以上の物件が多い。買い手の中心は地元企業だ。一方で、ホテルの取引や開発は盛んに行われている。

 調査結果は本誌2013年4月号(3月20日発行)に掲載した。取引事例の一覧(読者限定)は以下の通りだ。

【読者限定】仙台市中心部における東日本大震災以降の主な取引事例(PDF)