オフィスビルや店舗などのテナントが、共益費の省エネ分の還元に強い関心をもっていることが東京都のアンケート調査で明らかになった。賃貸借契約に盛り込んでもよい項目として、共用部における水光熱費削減分のテナントへの還元を選択したテナントが複数回答で7割を占めた。一方で、省エネ改修による専用部の光熱費削減分をオーナーに還元してもよいというテナントの意向も表れた。回答者の約3割がこれを支持している。

(資料:東京都)

 調査は東京都の「低炭素ビルへの環境投資等に関する検討会」(委員長:野城智也・東京大学生産技術研究所所長、役職は3月時点)が実施。約200件の回答を集計して4月26日に結果を公表した。CO2排出量の少ない建築物が普及するためには不動産市場で環境価値が評価されることが重要だと位置付け、ビルオーナーの省エネ投資に影響を及ぼすテナントの意向を明らかにした。

 環境不動産の普及を促進する契約条項を問う別の質問では、不動産業界の硬直的な慣習や不透明な契約の問題点も浮かび上がった。選択肢のなかから「テナントが実施した省エネ投資に関する原状回復義務の免除」や「専用部のエネルギー使用量・単価の開示や透明性の確保」を選んだテナントが、複数回答でそれぞれ5割を超えた。「共用部の水光熱費の開示などの透明性確保」も4割強の選択率だ。

 テナントや投資家がビルを評価して選別するための情報が重要だとの提言を受け、東京都は中小オフィスビルについても延べ床面積1m2あたりのCO2排出量を公表する方針を固めた。地球温暖化対策報告書制度が報告を求めているテナントビル約2000棟が対象となる見込みだ。今年度の早い時期に環境局のウェブサイトで公表する。

 調査・検討結果は東京都のウェブサイトからダウンロードできる。