国土交通省の環境不動産懇談会(座長:野城智也・東京大学生産技術研究所所長)は計4回の会合を終え、提言案をウェブサイト上で公開した。ビルの環境に関する設計性能値やエネルギー消費量実績値、格付け(レーティング)などの情報が可視化されることによって、賃貸や売買、資金調達、運用改善などの場面での活用が期待できると指摘している。懇談会での議論をふまえ、4月に最終の提言を公表する。

 懇談会は、ビルオーナーや業界団体だけでなく、投資や金融、仲介の専門家も交えてメンバーを構成。オフィスビルなどの収益用不動産を対象に、不動産の環境価値が適正に認識・評価される市場形成に向けて課題を整理した。投資家の資金を預かるアセットマネジメント会社やテナントのニーズを知る仲介会社の委員からは、ビルの環境情報をわかりやすく提供することが重要だとの意見が寄せられた。

 提言案は、主な施策として15項目を掲げている。一つの方向性として、エネルギー消費量原単位をビルの用途、規模、地域で分類したベンチマークが作られると、ビル市場における相対的な位置が把握できると記した。テナントの意識を高める働きかけやインセンティブの付与、公的機関の環境不動産への入居推進も重要だと位置付けている。

 提言案は、国交省の環境不動産ポータルサイトで見られる。

計測・保管されるとよい基本的な情報(資料:国土交通省)

<追加情報:2012年4月24日>国土交通省は4月24日、同省のウェブサイトで環境不動産懇談会の提言を公表した。