神田錦町三丁目ビルディング(旧名称、住友商事錦町ビル)
神田錦町三丁目ビルディング(旧名称、住友商事錦町ビル)

 住友信託銀行は、トップリート投資法人が保有する築20年以上のオフィスビル2物件を建物の環境性能評価システム「CASBEE(キャスビー)不動産マーケット普及版」で評価し、それぞれ「標準以上(B+)」と判定した。2012年7月の正式な制度化を目指して開発中のCASBEE普及版が、既存物件に適用できることを確かめた。

 評価の対象となったのは、築39年の神田錦町三丁目ビルディング(千代田区神田錦町、延べ床面積1万2169m2)と築21年になる芝公園ビル(港区芝、同4958m2)だ。両物件ともCASBEE普及版の5段階の格付けのうち、上から3番目のB+の評価を得た。投資法人の資産運用会社であるトップリート・アセットマネジメントの担当者は、「古い物件なので高い評価は得られないと思っていたが、まずまずの結果だ。管理の良さも反映されたようだ」と話している。

 CASBEE普及版は、既存のCASBEEの「複雑で難しい」「評価に時間がかかる」といった反省を踏まえて2011年に考案された簡易な評価手法だ。世界共通指標の考え方を採り入れており、3週間程度の期間で評価・認証ができる。現在は暫定版を公開している。

 金融機関としては日本政策投資銀行と三井住友銀行が、それぞれ独自の評価手法を用いてオフィスビルの認証実績を重ねている。これに対してトップリート投資法人のスポンサーでもある住友信託銀行は、(財)建築環境・省エネルギー機構が普及を推進する独立系のCASBEE普及版を基軸にサービスを提供していく計画だ。顧客の不動産購入アドバイスなどの場面で利用を働きかける。住友信託銀行は環境配慮型不動産ファンドの運用を計画しており、投資や融資の際の物件評価手法としても利用が広がる可能性がある。