東京都は2011年10月から、幹線道路沿いに立つビルに対して、耐震診断や耐震改修に関する実施状況報告書の提出を求める。災害時の緊急輸送道路が建物の倒壊で閉そくしないようにする目的で、2011年4月に施行した「東京における緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例」に基づく措置だ。報告書提出の対象建物には、すでに都が直接、通知している。

 耐震化状況報告が必要となるのは、都が定める緊急輸送道路のうち、特に重要性が高い「特定緊急輸送道路」に接する旧耐震基準の建物(1981年6月1日以後に新築工事に着手したものを除く)。一定の高さを持ったビルが対象となる。特定緊急輸送道路は総延長が約1000kmで、高速道路のほかに中央通り、永代通り、新宿通り、環七通りなど、都内の主要な道路が指定されている。東京都によると、耐震化状況報告の対象となる建物全体の約80%が23区に立地しているという。

 都は2012年4月から、対象となる建物の耐震診断実施を義務化する計画だ。耐震診断には都が助成金を交付する。分譲マンションと延べ床面積1万m2以下の建物については、国と都が費用の100%を交付する。分譲マンションを除く延べ床面積1万m2超の建物は80%まで交付される。適用期間は2014年3月末だ。

 診断後に耐震改修が必要とされた場合、改修工事の実施については努力義務にとどめている。ただ、耐震補強設計や改修工事に関しても助成金を用意しており、ビル耐震化を支援する。条例の内容や特定緊急輸送道路などについては、東京都耐震ポータルサイトで確認できる。